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易経(周易)を読み解く 百四五(澤地萃 四五上)

九四 ‥―― ‥‥‥ (澤地萃) 之卦 八水地比
九四。大吉、无咎。
○九四。大(だい)吉(きつ)にして咎无し。
 剛健不正(陽爻陰位)の九四の大臣(側近)は、初六(正応)と六三(正比)を率いて勢力が盛んである。九四は不正なので陽同士(不比)の天子(トップ)に対抗する可能性がある。もし、剛健中正の九五の天子(トップ)に対抗すれば、咎められることになる。
 だが、天子(トップ)の下に初六と六三を率いて馳(は)せ参ずれば、何事も大いに成就して幸運を招き寄せる。誰にも咎められない。
象曰、大吉、无咎、位不當也。
○象に曰く、大吉にして咎无しとは、位(くらい)、當(あた)らざる也(なり)。
 小象伝は次のように言っている。爻辞の「何事も大いに成就して幸運を招き寄せる。誰にも咎められない」という言葉の真意は、剛健不中正の九四の大臣(側近)が剛健中正の九五の天子(トップ)に取って代わろうとする野心を起こさないように戒めているのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)才德具え、時の宜しきに従い、剛柔変化自由自在の人物である。事業を企画して誤ることなく大いなる吉運を招き寄せる。
○権力者と遭遇して、権力者の様子を窺い、権力者から恩恵を授かることを待つ(逆に、権力者に恩恵を与える)時である。
○二人が共に力を合わせて、一つの目的を実現する時である。だが、地位に頼らず大衆の支持を得て、公平でなければ、問題が起こる。

九五 ‥―― ‥‥‥ (澤地萃) 之卦 十六雷地豫
九五。萃有位。无咎。匪孚。元永貞、悔亡。
○九五。有位に萃(あつ)まる。咎无し。孚とせられず。元永貞なれば、悔(くい)亡ぶ。
 九五は剛健中正の天子(トップ)である。その下に多くの人々が集まっている。何の過失もない。だが、剛健不正の九四の大臣(側近)の下にも多くの人々(六三と初六)が集まっている。九五が萬(ばん)民(みん)から支持されているわけではない。天子(トップ)の真心が天下に行き渡っていないのである。元(仁の德)・永(幾久しく変化しない德)・貞(正しい道=道德を固く守る德)の三德を修めて、萬民から篤(あつ)く支持されるようになれば、天子(トップ)として後悔することはなくなるであろう。
象曰、萃有位、志未光也。
○象に曰く、有(ゆう)位(い)に萃(あつ)まるとは、志未(いま)だ光(おおい)ならざる也(なり)。
 小象伝は次のように言っている。天子(トップ)の真心が天下に行き渡っていない。天子(トップ)としての志が未(いま)だ光のように輝いていない(元永貞の三德が不足している)から、九四の大臣(側近)の下にも多くの人々(六三と初六)が集まっているのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)君主の位に在るが、未だ大衆から全面的に信頼されていない。大いに正しい道を長く続けること(元永貞)ができれば、後悔することはない。君主としての人德を、さらに磨くことが求められている。
○普通の人の場合は、思ってもいなかった幸福に巡り逢うことがある。しかし、人からは信用されない。
○仕事を真面目に行って、生活は質素倹約を心がけ、善き行いを積み上げていけば、家族や家庭は安泰である。
○地位を得ても、人德がなければ、貴方の下に人は集まらない。未だ人々から信頼されていないのである。大いに正しい道を長く続けること(元永貞)ができれば、後悔することがなくなる。
○部下(四爻)が決断したことを疑う。嫉妬心からではなく、冷静に評価を待つ姿勢で臨めば、結果的に吉運を招き寄せる。

上六 之卦 十二天地否
上六。齎咨、涕洟。无咎。
○上六。齎(せい)咨(し)涕(てい)洟(い)す。咎无し。
 上六は人や物が集まり栄える萃の時の卦極に居て、応ずる相手(六三とは不応)がいないので、共に集まることができない。そこで、最上位に居ながら孤立して嘆き悲しんでいるのである。涙と鼻水が溢れて止まらない。自分が孤立していることを嘆き悲しんでいる(誰にも迷惑をかけていない)のであるから、咎められることはない。。
象曰、齎咨、涕洟、未安上也。
○象に曰く、齎(せい)咨(し)涕(てい)洟(い)するは、未(いま)だ上(うえ)に安んぜざる也。
 小象伝は次のように言っている。上六は孤立して嘆き悲しみ、涙と鼻水が溢れて止まらない。未だ孤(こ)高(こう)の位(くらい)に安んずることができずに六三と共に集まりたいと思っているからである。孤高の位に安んずることができれば比する九五の天子(トップ)と共に集まることができるかもしれないのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)柔弱だが運氣が善く、多数の中から選ばれて、立身出世する。けれども、心を許す人が周りにいないので、悲しんでいる。
それゆえ、精神的になかなか安定しない時である。
○集まる時が終わって、離散する時に移行する。
○喜ぶ時が窮まって、悲しむ時に移行する。
○歓楽窮まって、哀愁が漂い始める。