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易経(周易)を読み解く 百二五(水山蹇 全体)

三九 水(すい)山(ざん)蹇(けん) ‥―‥坎水 ―‥‥艮山
互卦 六四火水未濟  綜卦 四十雷水解  錯卦 三八火澤睽
蹇、利西南。不利東北。利見大人。貞吉。
○蹇(けん)は、西南に利しく、東北に利しからず。大人を見るに利し。貞にして吉。
 蹇は前方(上卦)に険阻艱難(坎水)が待ち構えている時に処する(下卦艮の止まる)道を説いている。西南の方位に行くが宜しい。或いは西南は文王八卦方位で坤(地)の方角なので、険阻艱難な時は無闇に動かず、平らな大地に止まって時に順うべきだと解釈することができる。東北の方位に行くのは宜しくない。或いは東北は文王八卦で艮(艮)の方角であり、山は険阻艱難の象徴なので険阻艱難な時は険阻艱難に立ち向かってはいけないと解釈することができる。以上の解釈から、険阻艱難な時は、険阻艱難な山に登ろうとせずに平らな大地に止まって、偉大な人物を見習うが宜しい。偉大な人物に見習えば険阻艱難な時に対処する道が見えてくる。偉大な人物を見習って正しい道(道德)を固く守れば、険阻艱難な時を乗り越えることができる。

彖曰、蹇、難也。險在前也。見險而能止、知矣哉。蹇利西南、往得中也。不利東北、其道窮也。利見大人、往有功也。當位貞吉、以正邦也。蹇之時用、大矣哉。
○彖に曰く、蹇は難(なん)也。險前に在る也。險を見て能(よ)く止まるは知なる哉(かな)。蹇は西南に利しとは、往(ゆ)きて中を得る也。東北に利しからずとは、其(その)道窮(きゆう)する也。大人を見るに利しとは、往きて功有る也。位(くらい)に當(あた)り貞にして吉とは、以て邦を正しくする也。蹇(けん)之(の)時用大なる哉(かな)。
 彖伝は次のように言っている。蹇は険阻艱難(上卦坎と二三四の互体坎)の中で山頂に立ち止まっている今の自分(下卦艮)と先々の自分(下卦から上卦に進んで行こうとしている自分)の前に立ち塞(ふさ)がって動こうとしても動けない時。このような時に、今の場所に止まって時を待つことができる(下卦艮の卦德は止まる)のが智者である。
 蹇の時は西南(文王八卦で坤の方角)に行くが宜しいとは、坤の平らな大地に柔順(坤の卦德)に止まる(艮の卦德)ことが険阻艱難な時に中(あた)る(適切に対処する)ことになるからである。東北(文王八卦で艮の方角)に行くのは宜しくない。艮の険しい山に向かって行けば道に窮(きゆう)するからである。偉大な人物(大人)に見習えば険阻艱難な時に対処する道が見えてくる。偉大な人物に見習うことによって自分を修めるのである。偉大な人物がしかるべき地位に就けば社会は安定する。国が正しく治まるからである。前方(上卦)に険阻艱難(坎水)が待ち構えている時に対処する蹇の働きは、何と偉大であろうか。

象曰、山上有水蹇。君子以反身脩德。
○象に曰く、山の上に水有るは蹇なり。君子以て身に反(かえ)りて德を脩(おさ)む。
 大象伝は次のように言っている。艮(山)の上に坎(水)が有るのが蹇の形である。険しい山(艮)と渉り難い大川と落とし穴(坎)が重なる険阻艱難な時である。
 君子はこの形を見習って、自分の身(言行)を省みて(反省して改善し無駄を省略して)德(仁義礼智信)を磨き(仁の人を目指し)、時が訪れるのをじっと待つのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)身の上に大変な災難を招き寄せる時。その災難から逃れようとするが万策尽きて困り果てる。
○この時に、小賢しい智恵を用いて対処しようとすれば、困難は益々非道くなる。その困難がもっとも非道い場合には、自分の命を失うこともある。そこまで非道くなくても、家の財産を失って(破産)、生活に困窮するところまで追い込まれる。
○蹇とは「跛(あしなえ・ちんば)」。進むことができない。心配したところでどうにもならない。時が至るのを待つしかない。
○初爻変ずれば(水火既済になれば)、五ヶ月後には天運を招き寄せて、救済者が現れ、困難から脱出することができる。
○「大人を見るに利し」とは、権威のある人、年上の賢人に依頼すれば支援を得られると云うことである。
○第五爻の時に至れば、困難から脱出して、非常事態は終焉し、心の安定を取り戻すことができる。
○闇雲に苦労して、心を痛めることのないようにするべきである。
○底なし沼に陥ってしまったように進退に窮する時。何事も進み行けば凶運を招く。止まるべし。進めば災難を招き寄せる。
○急いで事を成そうとしてはならない。災難を招き寄せるだけである。
○何事も思った通りにできない(何をやってもうまくいかない)時。
○リーダー(上司)は感情的になり、大衆(部下)は偏屈になって、組織(国家・社会・地域・会社・家庭)が治まらない時。
○善からぬ計画に騙されて落とし穴に陥る。
○物価は始めは高く、その後は低くなる。よって、商売は停滞する。