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時の物語 周易六十四卦 校正 6

十三.志を同じくする時

 次は「志を同じくする時」の物語である。「一.がんばる時の物語」に書いたように「夢や希望を叶える」ためには「夢や希望の矢印を自分に向けるのを止めて、他人や社会に向ける」こと、すなわち「夢や希望を志に切り替える」ことが大事である。志とは「自分のためではなく、人や社会のために何かを行おうとする気持」だ。
 志が本物ならば、多くの人々と志を同じくすることができる。あなたが志を実現するために会社を立ち上げれば、その志に共感して多くの人々が集まってくる。あなたが今の仕事を通して志を実現しようとすれば、多くの人々が共感してあなたを助けてくれる。
 人間として生まれてきたからには「夢や希望を志に切り替える」こと、多くの人々と「志を同じくする」ことが大切だ。「志」があれば、周りの人々と「志を同じくする時」がやってくる。あなたの「志」が大きければ大きいほど、沢山の人々と「志を同じくする」ことができる。「志を同じくする時」を経験した人も、これから「志を同じくする時」を迎える人も、「志を同じくする時」の中に居れば充実した人生を送ることができる。

 「志を同じくする時」の主人公は、「一.がんばる時」に登場し、がんばり続ければ自分の志を実現することができることを身を持って体験した「あなた(わたし)」である。

 わたしは、夢や希望を志に切り替えて志を実現するための努力を毎日続けた。一日たりとも努力しなかった日はない。「がんばる時」にがんばり続ければ自分の志を実現できることを身を持って体験した。志を実現するための先生である日本茶専門店の経営者から「そろそろ自分の店を出したらどうだ。」と勧められて起業した。以下省略。

十四.全てが順風満帆な時

 次は「全てが順風満帆な時」の物語である。「全てが順風満帆な時」は、小は家庭から大は国家まであらゆる組織のリーダーが人格者(思いやりの人)であることが前提条件となる。優れた組織のリーダーは「一.がんばる時の物語」に書いたように「夢や希望の矢印を自分に向けるのを止めて、人や社会に向ける」ことが求められる。志ある組織のリーダーは人格者であるが同時に権力者でもある。権力者が組織を率いるから優れた組織になるが、バランスが権力に傾くと組織に亀裂が生じる。組織に亀裂が生じると組織を守るために権力者はその地位を追われる。すると新たな人格者(思いやりの人)が代わってリーダーとなり組織が安定する。ほとんどの組織がそのようなことを繰り返す。
 「全てが順風満帆な時」の物語は、一人の人格者(思いやりの人)がリーダーの地位に在り続ける時である。古事記や日本書紀に描かれる「民の竈」で有名な仁徳天皇の時代が「全てが順風満帆な時」である。誰もが組織に属している。リーダーが人格者(思いやりの人)で在り続ける組織に属したいものである。
 あなたが今属している組織が「全てが順風満帆な時」ならあなたは幸せである。あらゆる組織が「全てが順風満帆な時」になることが理想である。

 「全てが順風満帆な時」の主人公は「十一.安定する時」に登場した、江戸時代の中期に創業し三百年の歴史を誇る地方の老舗企業に勤めている「あなた(わたし)」である。

 わたしが勤める「江戸屋」の社風は「思いやり」である。「上の者は下の者を思いやり、下の者は上の者を尊敬する」を社訓とする企業文化である。しかし、当初「江戸屋」の社風は「思いやり」ではなかった。「江戸屋」の創業者は「思いやり」を大切にする人だったが子宝に恵まれなかった。そこで養子を迎え入れて「江戸屋」を継がせたが、二代目には敵が多くしばらくは「思いやり」の企業統治ができなかった。「江戸屋」の創業者には兄弟が二人居て番頭(側近)として「江戸屋」に勤めていた。兄弟にはそれぞれ後継ぎの息子がいて、「江戸屋」の二代目候補だった。だが、創業者は自分が迎え入れた養子を後継者に指名した。創業者の兄弟とその息子はそれが不満で「江戸屋」から二代目を追い出そうと画策した。以下省略。