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人生に役立つ易経 雷天大壮

 以上のように雷天大壮の時を捉えると、大盛運の時を喜んでばかりはいられない。大盛運の時だからこそ、慎み道德心を失わず、己の利益は追求せずに世のため人のために尽くすのである。
 陰陽消長卦の循環で雷天大壮を捉えると、地雷復☷☳で衰運から盛運に転じた時の流れは、地澤臨☷☱で目に見えるように盛んな流れとなり、地天泰☷☰で最も安定した時が到来し、雷天大壮☳☰で一気に加速する。そして、盛運の頂点である乾為天☰☰の一歩手前の澤天夬☱☰の時に移行すると、一陰五陽の陰の力が強大となって盛運の時を妨害する。強大となった一陰の力を打ち砕くためには、雷天大壮の「貞(さだ)しきに利(よろ)し」が前提となるのである。
 古事記に当て嵌めれば、雷天大壮は建(たけ)御(み)雷(かづち)之(の)男(お)の神である。大国主(おおくにぬし)の神によって出雲の国は完成したが、水地比の「後(おく)るる夫(ふ)は凶/和合できない人は駄目である」の性質を持つ建(たけ)速(はや)須(す)佐(さ)之(の)男(お)の命(みこと)の子孫・大国主(おおくにぬし)の神が出雲の国をしらす(相手を知る慈しみの心で統治する)ことは相応しくない。火天大有☲☰の上卦離「無私・無我」の境地で民を見守る天照大御神の皇子(みこ)がしらすべきであると、出雲の国は天照大御神の皇子(みこ)に譲られる(国譲り)ことになる。その時、天照大御神の使者として出雲に派遣されたのが、火天大有☲☰上爻が陰陽反転した雷天大壮☳☰・建(たけ)御(み)雷(かづち)之(の)男(お)の神である。

 以上が雷天大壮の概要である。
 ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。

大壯、利貞。
○大(たい)壯(そう)は、貞(ただ)しきに利(よろ)し。
 大壮は陽(君子・盛運・善)の勢いが陰(小人・衰運・悪)を駆(く)逐(ちく)して益々盛んになる時である。盛運中の盛運の時であるが、調子に乗ってやり過ぎる(傲(ごう)慢(まん)になったり強(ごう)引(いん)すぎたりする)と大失敗を招き寄せる。やり過ぎないように自分の言行を抑制して、常に正しい道(道德)を固く守るが宜しい。以下省略。