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易経六十四卦と本書(時の物語)の関係 13

三十七.組織が調和する時      百七十三頁  風火家人 ☴☲
三十八.愛が憎悪に変わる時     百七十七頁   火澤睽 ☲☱
三十九.立ち止まって考える時    百八十一頁   水山蹇 ☵☶

三十七風火家人(ふうかかじん) ☴ ☲ 巽上離下  組織が調和する時 百七十三頁
 風火家人は六十四卦の中で最も人間関係が良好な時である。物事が成就するしないに関係なく人間関係が良好な時である。人間関係の基本は家族である。今の時代は家族が崩壊しつつあり、単身世帯の人が少なくないが、人間本来の在り方は、家族が支え合って家庭を築き、お互い助け合って生活を営むことである。家族がしっかり支え合って生活ができれば、お互いを思いやる気持が芽生えて幸せに生きていくことができる。

三十八火澤睽(かたくけい) ☲ ☱ 離上兌下  愛が憎悪に変わる時 百七十七頁
 人間関係が最も良好な風火家人☴☲がひっくり返ると、人間関係が最もギズギスする火澤睽☲☱の時となる。まるで今の日本社会のようである。高度経済成長から安定成長期にかけて、温かく幸せそうな家庭が多かった。祖父母と両親、子供が一緒に暮らす大家族も健在で、力を合わせて仲良く暮らしていた。家族や家庭だけでなく、会社も家族のような人間関係で成り立っており企業家族と呼ばれていた。昭和三十年ころから平成が始まるころまでは、家庭も企業も風火家人の良好な人間関係が成り立っていたように思う。ところが、バブルが崩壊して経済成長が止まり、家族や企業の在り方など世の中の仕組みがおかしな方向に変わって行くようになると、風火家人の時がひっくり返り火澤睽の時に陥ってしまった。

三十九水山蹇 ☵ ☶ 坎上艮下  立ち止まって考える時 百八十一頁
 水山蹇は四大難卦の一つである。四大難卦以外に異常事態で暗黒社会の地火明夷☷☲を加えると、六十四卦の中には五つの艱難辛苦の卦がある。一番困難な卦は坎為水☵☵と地火明夷☷☲、次は澤水困☱☵、その次が水山蹇☵☶、そして、水雷屯☵☳という順である。異常事態の地火明夷以外は全て坎☵が置かれている。水山蹇は上卦に坎☵、下卦に艮☶が置かれている。上卦坎☵の艱難辛苦を下卦艮☶の山がしっかりと受け止めている。だから、困難さの度合いは坎為水、地火明夷、澤水困よりも弱くなる。