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時の物語(易経短編小説集・近日中に出版予定)19

十八.刷新する時

 次は「刷新する時」の物語である。小は家庭から大は国家まであらゆる組織は環境の変化に適切に対処することが求められる。適切に対処できない状態が長引くと組織は硬直化して腐敗していく。その状態を放置するとやがて組織は崩壊する。戦後の日本を見ても商店街を構成していた商店が減少し続けて、店舗はどんどん大型化している。地方の中小スーパーはほとんど姿を消し化け物のような大きな商業施設に人が集まっている。商店も中小スーパーも変化し続ける環境に適切に対処できなかった結果である。
 家庭も学校も自治会も各種団体も企業も市町村も都道府県も国家も同じである。誰もが様々な組織の構成員である。少なくても家庭や市町村や都道府県や国家に属している。あなたがそれらの組織に対して帰属意識がなかったとしても、それらの組織の興亡は色々な形であなたに影響を与える。家庭が崩壊すれば家族を失い住居を失う。市町村や都道府県が赤字になれば税負担が増え住民サービスが低下する。北海道の夕張市は財政破綻して町は廃墟のようになってしまった。もし国家が腐敗・崩壊したら大変なことになる。債権国の属国あるいは経済的な植民地として、国民の大多数が奴隷のように働くことになる。
 戦後、主権を回復したはずなのに属国のように米国に従属してきた日本の国を「刷新する時」がいよいよ到来したのだ。

 「刷新する時」の主人公は大東亜戦争(太平洋戦争)に敗れて米国に占領され米国の属国(経済的植民地)として生きながらえてきた日本の主権を取り戻すために、政治活動を精力的に続けている「あなた(わたし)」である。

 令和六年、わたしは国会議員として、また野党の党首として日本の主権を取り戻すための活動に日々明け暮れている。日本は形式的には主権国家だが、実質的には主権を失っていることにわたしが気付いたのは、学生時代に海外に留学し、他国の同年配の青年と交流したことがきっかけである。他国の青年は母国のことが大好きで母国の歴史に誇りを持っていた。それぞれが母国の将来像を描いて母国に貢献する仕事をしたいと思っていた。だが、日本の青年は誰一人日本の将来像など考えないし、日本のことを好きになれず戦略戦争をした悪い国だと思っている。誰も日本の国に誇りを持っていない。
 「他国の青年はどうして母国が大好きで歴史に誇りを持っているのだろう?」と考えた結果、戦後の教育や価値観が歪んでいることに気付いた。一年間の留学生活を終え帰国すると、わたしは直ぐに明治維新から大東亜戦争敗戦後に至る日本の近現代史を調べた。驚くことにわたしたちが受けてきた学校教育は意図的に歪められており、戦後のあらゆる制度や価値観は全部米国によって日本人の精神を骨抜きにするため作られたものだった。米国はマスメディアなどを通して時間をかけて巧みに日本人を洗脳してきたのだ。以下省略。