十三 天(てん)火(か)同(どう)人(じん) ||| |・| 志を同じくする
とーさん(十三)かーさん「天(てん)火(か)同(どう)人(じん)」 互卦 四四天風姤
※多くの人々と志を共にして和合する時である。こだわりを捨てて、視野を広げよう。
天下(沢山)の人々と志を同じくせよ。広く天下の同志(朋友)を集めて和合するべし。
忠臣②がトップ⑤と志を通じて、天下の人々(⑥④③①)と大同団結する時である。
天下の人々と志を通じる君子(立派な人)は是非善悪を見極めて、時に対処する。
天地人の道(いつ、お天道さまに見られても恥ずかしくない言行)を貫いて大事業を興すべき時である。年長者には謙遜し、年少者には傲慢にならないように心がける。忠臣②がトップ⑤と志を通じて、天下(沢山)の人々と大同団結する時。天下国家の人々と志を同じくする君子は、物事の是非善悪・正邪適否を見極めて公平無私で問題に対処する。
〇文明と智恵、健やかな力を具えており、しかも⑤と②が中正を得ている。広く天下の同志を集めて、大事業を興すべき時である。位の高い人と接する時には、謙遜して、卑下することなく、位の低い人と接する時には、傲慢になることなく、公平無私を心がけ、等しく天下の人々と交わって、天地人の道を履み行なうべきである。
○天下の人々は、あなたの志に共感し、あなたの言行を信用し、あなたを支援してくれる。事業は成就する。剛健の徳を具えた人の支援が得られれば、向かうところ敵はなく、危険に陥る可能性も少ない。チャンスを逃さず、努力して正しい道を突き進み、天下国家のために尽くす。名前を後世に伝えるように心がけるべきである。
○力を合わせ心を一つにして、事業を成し遂げれば、利益を得られる。
○国家には、公に奉ずる役人と経済活動や文化活動を行なう民間人が存在する。同人は、民間人の志が実現する時である。
○天下の人々と広範囲に付き合えば、私利私欲から離れることができて、天の道を踏み外さない。それゆえ、大吉を招き寄せる。
○限られた人としか、志を同じくしない時は、他の人の怨みを買う。大勢の人々と、志を同じくすれば、天下に敵がいないと思えるほど、吉運招来する時である。
○学問を積んで得た知識により、権力や権威、資金力がある人と共同して事業を企画実行して、利益を得る時である。 ○最終的な方針を定めて発憤する時。 ○温和な性格ゆえ大衆から親しまれる。 ○大事業を成し遂げ、天下に名を轟かせる時。
○何事も温和で円滑であることを善しとする。
① 天火同人初爻 ||||・| 之卦天山遯 ||||・・
多くの人々と志を共にする同人の始めの段階。天下(多く)の人々と和合すべく先輩②と志を同じくする。
実家を出て(独り立ちして)学問と修養に志し、世間の人情を味わう時である。
〇頑固さ、こだわり、私利私欲を捨てて、人に接するように心がけるべきである。内側に居る自分を正して、外側に居る相手との関係を保てば、協調一致して進むことができる。
○実家を出て(独り立ちして)学問と修業に志す時。
② 天火同人二爻 ||||・| 之卦乾為天 ||||||
あなたは広く天下の人々と志を通じる時にトップ⑤しか見ていない。
君子(立派な人)としては不甲斐ない。志をしっかりと確立することが求められる。
トップ⑤に寵愛され(社会的地位の高い人から目をかけられて)傲慢になりがちな心を抑制する。言行一致を貫き、公明正大な志を確立することが求められる。
〇文明の知見と先を読む明察力があるのに、人望を失って、運氣が萎(しぼ)んでしまった時である。よく考えて、傲慢になりがちな心を抑制し、大衆を見下すことなく、公明で正しく広大な志を抱き、その志をずっと保つべきである。そのようであれば、再び運氣は回復して、繁盛・繁栄の名誉を得る。
○一つだけ存在する陰的な人材が臣下の位②に居る。文明の知見を具え柔順中正を得て、⑤の君主に応じている。名君と賢臣が志を同じくして国家を統治する時である。
○地位の高い人⑤から寵愛されるため、③・④から嫉妬されること甚だしい。
貴人から大切にされることを誇れば、吉運一転して凶運となり、後で後悔したところでどうにもならない。
○あなたが公明正大で天真爛漫な真心を持つことができれば、誰にも隠しごとが出来なくなる。言行一致を貫けば、大勢の人々に助けられる。志を大いに成就することができる。
○権力や権威に驕らず、髪の毛一本ほども傲慢な気持ちを抱くことなく、泰然と佇んでいることが求められる時である。
③ 天火同人三爻 ||||・| 之卦天雷无妄 |||・・|
②と志を通じたいと強く欲するが、②はトップ⑤に夢中で相手にされない。トップ⑤を打ち倒そうとするが力量の差が歴然としており手も足も出せない。
力量不足なのに無謀に大事業を企画すれば途中で力尽きる。慎むべきである。
②への終着を断ち切って、持ち場(本業・家庭)を大切にするべきである。
〇才能と力に任せて、冷静に対処しようとせず、無謀にも大きな事業を企画するが、途中で力尽きて止めてしまう時。
○商売にあっては、僅かな資本金で、大金が必要な営業活動に着手し、散々苦労するけれども、結局、苦労は報われることなく、資本金を失うことになる。苦労するけれども、成功しない時である。 ○善からぬ計画を胸に秘めて、他人を妨害しようとする。
○他人が仲よくしていることを恨めしく思う時。
○時間をかけて計画したことが原因となって、何事もギクシャクする。
○屯田兵(平時は農業を営みながら軍事訓練を行なって、戦争のときには軍隊の一員となる兵士のこと)に関する時である。 ○悪知恵が働くことが、災いとなって財産を失う。
④ 天火同人四爻 ||||・| 之卦風火家人 ||・|・|
②と志を通じようと欲する。その願いは適わないが災い転じて福となす。
②と志を通じたいと欲するが、トップ⑤に阻まれて諦める。
当初の希望は叶えられないが、不義を恥じて希望を転換するので災い転じて福となす。
〇今やっていることの他に希望していることがあって、どうすればよいか、いろいろと考えるが、すでに他の人に先を越されている時である。
今は自分が希望していることを行なうことはできないと悟り反省して、自分の志を転換させれば、吉運を招き寄せる。
○高い所に登って大衆を指導する時。
○事を成し遂げることが難しいことを悟って中止する。
○諺に云う「骨折り損のくたびれもうけ」という時である。
⑤ 天火同人五爻 ||||・| 之卦離為火 |・||・|
忠臣②と志を通じて、天下の人々と和合一致したいと欲するが③と④に妨害される。
始めは③と④に妨害されるが、やがて大軍で打ち破って②と志を通じ合う。
今、時運が到来した。妨害を排除して天下泰平を実現する。朋友が志を同じくして利益を分かち合う時である。
〇最初は、自分を妨害する人がいて、しばらくは志を成し遂げることができない。
今ようやく時運が到来した。妨害を排除して、同志と共に志を成し遂げることができる。大いに喜び合う時である。
○寛大で余裕がある。大衆に望まれる時である。
○大きな事業を立ち上げ、最初は幾多の困難に遭遇するが、終には事を成し遂げて名誉を得る。
○朋友が志を同じくして、資産を融通し合い、利益を分かち合う時。
○信頼できる朋友と再会して、久しぶりに談笑し、お互いに喜び合う時である。
⑥ 天火同人上爻 ||||・| 之卦澤火革 ・|||・|
社会と距離を置いてマイペースで暮らしている。何事にも執着しない。
天下泰平は実現した。もはや何も求めることはない。
今は世間から遠ざかって、超然としてゆったり過ごすがよい。
〇無事に何事もない(暇な)時だから、何も求めることなく、超然として過ごすがよい。
何事もないことを退屈だと思って、妄りに事を為そうと欲しても無駄である。
○世間の苦労から遠ざかり、毀(き)誉(よ)褒(ほう)貶(へん)と無縁の時である。
○静かな土地にしっとりと暮らして、何事もない時である。
○朋友と疎遠になる。○世事に疎(うと)くて人に欺(だま)されやすい。
☆この爻を帰魂とする。寿命を占ってこの卦が出た時は、上爻に至る時に死亡する。