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易経(周易)を読み解く 四八(天火同人 全体)

十三 天(てん)火(か)同(どう)人(じん) ―――乾天 ―‥―離火
互卦 四四・天風姤  綜卦 十四・火天大有  錯卦 七・地水師
同人、于野。亨。利渉大川。利君子貞。
○人に同じうするに野(や)に于(おい)てす。亨(とお)る。大(たい)川(せん)を渉(わた)るに利(よろ)し。君子の貞(てい)に利(よろ)し。
 同人は人と人とが志を同じくして、一致団結して事に中る時。上卦の天(乾)と下卦の太陽(離)が天の道を同じくするように、広く天下の同志を集めて和合すべき時である。貴方が公正で無私ならば、何事もすらっと通る。
 同志が一致団結して事に中る場合は、大川を渉るような難事業でも成し遂げることができる。何事も君子の正しい道を固く守ることが肝要である。

彖曰、同人、柔得位、得中、而應乎乾、曰同人。同人曰、同人于野、亨。利渉大川、乾行也。文明以健、中正而應、君子正也。唯君子爲能通天下之志。
○彖に曰く、同人は、柔、位(くらい)を得、中を得て乾(けん)に應(おう)ずるを、同人と曰(い)う。同人に曰(いわ)く、人に同じくするに野(や)に于(おい)てす。亨(とお)る。大(たい)川(せん)を渉るに利しとは、乾の行(ぎよう)也。文明にして以て健(けん)、中正にして應(おう)ず、君子の正しき也。唯(た)だ君子のみ能(よ)く天下の志を通ずと爲(な)す。
 彖伝は次のように言っている。同人は柔順な六二が正(せい)中(ちゆう)(正位にして中庸の德を具えている)を得て、剛健(正位にして中庸の德を具えている)九五と志を同じうする時だから「同人」と言う。「同人は人と人とが志を同じくして、一致団結して事に中る時。上卦の天(乾)と下卦の太陽(離)が天の道を同じくするように、広く天下の同志を集めて和合すべき時である。貴方が公正で無私ならば、何事もすらっと通る。同志が一致団結して事に中る場合は、大川を渉るような難事業でも成し遂げることができる。何事も君子の正しい道を固く守ることが肝要である」とは、正(まさ)しく上卦乾(天)の働きである。
 内(下卦離)に文明の德を備え、外(上卦乾)は剛健の性質で、六二と九五が共に中(ちゆう)正(せい)(正位にして中庸の德を具えている)で応じている。六二の忠臣(部下)と九五の天子(トップ)が中(ちゆう)正(せい)の道を以て相応じている。正(まさ)しく、君子の正しい道である。このような君子だけが、天下の臣民(世の中のあらゆる人々)と志を通じて、大同団結できるのである。

象曰、天與火同人。君子以類族辨物。
○象に曰く、天と火とは同人なり。君子以て族を類し物を辨(べん)ず。
 小象伝は次のように言っている。上卦乾の天と下卦離の火(太陽)は共に上に昇っていくから志を同じうすることができるのである。
 君子は天と火(太陽)の性質に倣って、善(ぜん)悪(あく)正(せい)邪(じや)智(ち)愚(ぐ)利(り)鈍(どん)(善きものと悪しきもの、正しいものと邪なもの、智恵ある人と愚鈍な人、鋭い人と鈍い人)を分類して臣民のタイプを見極め、あらゆる物事を弁(べん)別(べつ)して、正しく時に対処するのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)文明と智恵、健やかな力を具えており、しかも(五と二が)中正を得ている。広く天下の同志を集めて、大事業を興すべき時である。位の高い人と接する時には、謙遜して、卑下することなく、位の低い人と接する時には、傲慢になることなく、公平無私を心がけ、等しく天下の人々と交わって、天地人の道を履み行なうべきである。このことを「人に同じくするに野(や)においてす。同人は人と志を同じくする時。天(乾)と太陽(離)が天の道を同じくするように、広く天下の同志を集めて和合する」と云う。
○天下の人々は、あなたの志に共感し、あなたの言行を信用し、あなたを支援してくれる。事業は成就する。剛健の徳を具えた人の支援が得られれば、向かうところ敵はなく、危険に陥る可能性も少ない。チャンスを逃さず、努力して正しい道を突き進み、天下国家のために尽くす。名前を後世に伝えるように心がけるべきである。
○力を合わせ心を一つにして、事業を成し遂げれば、利益を得られる。
○国家には、公に奉ずる役人と経済活動や文化活動を行なう民間人が存在する。同人は、民間人の志が実現する時である。それゆえ「野(や)においてす。亨(とお)る。広く天下の同志を集めて和合する。それゆえ、すらっと通る」と云う。
○人々の心が私利私欲に傾いている。凡庸な主張が正論と錯覚されてしまう時である。
○徒党を組んで、志や希望・願望を成し遂げようとする時である。
○野蛮な行為が行なわれる時である。
○交際している相手に対して、過度に愛情を抱いてはならない。いわゆる「八方美人」のような、交際をすることで宜しきを得る。
○天下の人々と広範囲に付き合えば、私利私欲から離れることができて、天の道を踏み外さない。それゆえ、大吉を招き寄せる。
○限られた人としか、志を同じくしない時は、他の人の怨みを買う。大勢の人々と、志を同じくすれば、天下に敵がいないと思えるほど、吉運招来する時である。
○学問を積んで得た知識により、権力や権威、資金力がある人と共同して事業を企画実行して、利益を得る時である。
○最終的な方針を定めて発憤する時。
○温和な性格ゆえ大衆から親しまれる。
○真っ直ぐで正しい才能と剛毅なエネルギーに志が支えられる。大事業を成し遂げ、天下に名を轟かせる時。
○智恵のある人が内側に、勇気のある人が外側に居る。内外時と場所を得て、智者と勇者が志を同じくする。小さいことであれば、家を再建し、大きなことであれば、国家を統治して天下泰平を実現する。
○人と相親しむ。○交際が広がる。○議論を吹っかけ揉め事を起こしてはならない。
○何事も温和で円滑であることを善しとする。