当て嵌め、後半の物語(篤実な人になる)を人生の後半(五十歳位以降)に当て嵌めると味わい深い。
社会の第一線でバリバリ仕事をしたり、色々な人とお付き合いしている時(人生の前半)には飾り立てることも必要だが、飾り立てることばかりに夢中になっていると虚飾となって、人間的に薄っぺらくなってしまう。だから五十を過ぎて、人生も後半にさしかかったころからは、飾り立てることから卒業して、質素倹約に努めて周りの人から好かれる篤実な人を目指そう。こんな風に読み取るとこれは一つの人生哲学となる。
ただ原文を忠実に読むだけでなく、時にはこんな感じで人生哲学として読んでみる。これもまた易経の魅力である。
以上が山火賁の概要である。
ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。
賁、亨。小利有攸往。
○賁(ひ)は亨(とお)る。小(すこ)しく往(ゆ)く攸(ところ)有るに利(よろ)し。
賁は物事を彩(いろど)り飾って(外見を装飾して)すらっと通る時。
真(ま)心(ごころ)が充実していれば、彩り飾ら(外見を装飾し)なくてもすらすら通るが、彩り飾っているから通るのである。
それゆえ、小さな事に取り組むのは宜しいが、大きな事に取り組むのは宜しくない。以下省略。