また、火天大有を日本の神様に当て嵌めれば天照大御神(あまてらすおおみかみ)である。乾為天☰☰の伊邪那岐命(いざなぎのみこと)(陽の神様)と坤為地☷☷の伊邪那美命(いざなみのみこと)(陰の神様)が国生み・神生みの役割を終えて、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)(陽の神様)の左目(陽の意味)から生まれたのが天照大御神(あまてらすおおみかみ)である。これまでは男神の伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が陽の神様だったが、ここから女神である天照大御神(あまてらすおおみかみ)が陽の神様として日本の国を統治する(しらす)ようになった。また、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)(陽の神様)の鼻(陰の意味)から生まれたのは須佐之男命(すさのおのみこと)である。須佐之男命(すさのおのみこと)は男神だが陰の神様として日本の国土開発を担うようになる。
六十四卦に当て嵌めると須佐之男命(すさのおのみこと)は水地比☵☷である。火天大有☲☰が一陰五陽であることが女神が陽の神様になったことを、水地比☵☷が一陽五陰の卦であることが男神が陰の神様になったことを表している。以上のように、筆者は易経と古事記を結び付けて理解している。
以上が火天大有の概要である。
ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。
大有、元亨。
○大(たい)有(ゆう)は、元(おおい)に亨(とお)る。
大有は乾(天)の上に離(火・太陽・無我のトップ)が在り、天上に太陽が燦(さん)々(さん)と輝き普(あまね)く天下万民を慈しみの光で照らす時である。一陰の六五(無我のトップ・指導者・リーダー)が君位に在り、五陽の賢人(臣民・万民)が帰服するので、何事もすらすら通り、幾久しく安泰の時が続く。
彖曰、大有、柔得尊位、大中而上下應之、曰大有。其德剛健而文明、應乎天而時行。是以元亨。
○彖に曰く、大有は、柔(じゆう)尊(そん)位(い)を得、大(だい)中(ちゆう)にして、上下之(これ)に應(おう)ずるを、大有と曰う。其(そ)の德剛(ごう)健(けん)にして文(ぶん)明(めい)、天に應(おう)じて時に行う。是(ここ)を以(もつ)て元(おおい)に亨(とお)る。
大有は、柔順な六五(無我のトップ・指導者・リーダー)が尊位に在(あ)る。六五は偉大な中(ちゆう)庸(よう)の德を具えており、上下五陽が心(しん)服(ぷく)しているから、大いに所有する(大有)と言う。
六五は強く健やか(下卦乾)で明智(上卦離)を具えており、天命に順(じゆん)応(のう)して時に中(あた)る。それゆえ何事もすらすら通り、安泰の時が続くのである。以下省略。