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周易詳解(一部抜粋) 離為火

三十離為火 ☲ ☲ 離上離下

 互卦 二八澤風大過☱☴  綜卦 同(離為火)
 錯卦 二九坎為水 ☵☵

 六十四卦のうち、「一.乾為天☰☰」から「三十.離為火☲☲」までを上経(じようけい)と称し、「三十一.澤山咸☱☶」から「六十四.火水未済☲☵」までを下経(かけい)と称する。上経(じようけい)は大きな物語(天地の道)を示しており、下経(かけい)は小さな物語(人の道)を示している。
 大きな物語(天地の道)を示している上経(じようけい)は「一.乾為天☰☰」と「二.坤為地☷☷」から始まり、「二十九.坎為水☵☵」と「三十.離為火☲☲」で終わる。「一.乾為天☰☰」は易の基本原理を構成する「陽|」の働きや役割を描き、「二.坤為地☷☷」は「陰‥」の働きや役割を描いている。対して、「二十九.坎為水☵☵」は万物の生命維持や人類の文明に必要不可欠な「水」の役割の一面である「艱難辛苦」を描き、「三十.離為火☲☲」は「明智明德の発現である文明創造」を描いている。
 易経には「天地人三才(天の道・地の道・人の道の三つがある)」という考え方があるが、「一.乾為天☰☰」から「三十.離為火☲☲」までの上経(じようけい)は「天の道・地の道」を大きく示しており、上経(じようけい)を締め括る「二十九.坎為水☵☵」と「三十.離為火☲☲」は上経(じようけい)で示した「天の道・地の道」を、下経(かけい)の「人の道」に繋げているように思える。すなわち、太極(無限のエネルギーと陽と陰の働き)によって天地宇宙が創造され、万物が生成発展する過程の中で地球という惑星が誕生し、その惑星に人類が生まれ、文明を発展させたことを三十類型の物語として示しているのである。
 地球という惑星を誕生させたのは「一.乾為天☰☰」と「二.坤為地☷☷」の相互作用であり、地球上に生まれた人類が、他の惑星には見られない文明を創造発展した。文明を発展させるために必要不可欠なのは「水と火」であり、人類が文明を創造発展させることができたのは、他の生物には決してできない「水と火」を制御することができたからである。
 すなわち、上経(じようけい)が「一.乾為天☰☰」と「二.坤為地☷☷」から始まるのは、地球という惑星を誕生させた原理原則を物語として示すためであり、「二十九.坎為水☵☵」と「三十.離為火☲☲」で終わるのは、人類だけが成し遂げた「水と火」を制御する方法を物語として示すためであると考えることができる。
 以上のことから、「坎為水☵☵」は「水害・水難・困苦」など「坎水」の性質がもたらす艱難辛苦を人類が乗り越えるための物語を示し、「離為火☲☲」は「爆発・争う・競う・中虚・虚飾」など「離火」の性質がもたらす艱難辛苦を人類が乗り越えるための物語を示していると考えることもできる。以下省略。