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周易詳解(一部抜粋) 概論四

【兌(☱)】

 兌は澤である。澤は凹んでいる。凹んでいる処には水が溜まる。澤は池となり湖となり大海となる。池や湖や大海は生命の泉だから生命に悦ばれる。悦び過ぎると乱れて崩れる。そこで兌は欠ける壊れるという意味になる。また、一番上の陰爻を口先に例えると饒舌という意味になる。饒舌は口先上手だから佞人という意味になる。論語に云う「巧(こう)言(げん)令(れい)色(しよく)、鮮(すくな)し仁(じん)/口先上手で人当たりのよい人物は、見かけだけで思いやりはないよ」のである。
 あるいは、乾☰の一番上の爻が欠けて☱の形になったと捉えると「壊れる、欠ける、欠陥、傷付く」意味となる。
 易占の神様・高島嘉右衛門は、「高島周易講釈(八幡書店)」に次のように書いている(現代語に意訳した)。
「兌は澤である。澤は水を受ける大地であり、海である。兌は一陰が二陽の上に在る。陽は剛く、陰は柔かである。今柔弱な陰爻が、剛い陽爻の上に挙げられている。これは悦ぶという形である。兌を人に当て嵌めれば、少女が人々から寵愛されて、悦んでいる形である。人が悦ぶときは口元が緩むものである。」
 そして、兌が具えている意味や性質を次のように整理している。(一部、著者が理解できない概念は省略した)
「澤、悦、見(あら)われる、和順、毀(き)折(せつ)、少女、口、西(さい)方(ほう)、秋、辛(しん)味(み)、白色、肝臓、妾」
「(初爻)商(しよう)量(りよう)(考えはかる)、謎、調和、謀る」
「(二爻)講習、弁解、方便、説明、忠告、穏当、格言、予言、例え、楽、歓待、讃美、愉快、愛想、怜悧」
「(三爻)口舌、笑う、小人、不信、傷、論議、発言、陳述、呼吸、口実、喜悦、放言、罵詈、冷笑、閉口、流言、賄賂、騙す、喝采、欺く、生意気、喧嘩、告発」
 黒岩重人著「易を読むために 易学基礎講座」(藤原書店)及び鹿島秀峰著「現代易占詳解」(神宮館)を参考にして、「兌(☱)」の象意を整理すると次のようになる。
 一陰が二陽の上にある兌は、上部が欠けて凹んでいる。
〇自然 澤(海・湖・池・水たまり・凹)
○天気は小雨
○季節は秋
○方位は西(後天)、東南(先天)
○五行は金
○色は白、金、赤

【離(☲)】

 離は「火」である。火は真ん中が空洞である。真ん中が空洞だから中虚、虚心である。虚心は無我、無我は明德。明德は明智、明智は文明である。無我は明德に、明智は文明につながる。
 易占の神様・高島嘉右衛門は、「高島周易講釈(八幡書店)」に次のように書いている(現代語に意訳した)。
「離は火である。附着するという意味である。火は万物を乾かし、物事を明らかにする。これは造化の作用である。人に当て嵌めると火のように明るい知識がある形である。」
 そして、離が具えている意味や性質を次のように整理している。(一部、著者が理解できない概念は省略した)
「火、文明、附着、智慧、中女、眼、南方、夏、苦味、赤色、心臓、午(うま)、太っ腹、鋭い」
「(初爻)交錯、馬鹿正直」
「(二爻)見(あらわ)る、文、照明、資財、善、才子、學士、辨知、賢、優美、発明、怜悧、自得、洞察、知覚、着眼、臨機応変、予期、達観、聡明、美麗、光、形容、検査」
「(三爻)傍観、発表、眺める、煩悩、慢心、沸騰、忿懣、災害、焦眉」
 黒岩重人著「易を読むために 易学基礎講座」(藤原書店)及び鹿島秀峰著「現代易占詳解」(神宮館)を参考にして、「離(☲)」の象意を整理すると次のようになる。
 一陰が二陽の間にある離は、中が空洞になっている。
〇自然 火(太陽)
○やまとことば う
○天気は晴れ
○季節は夏
○方位は南(後天)、東(先天)
○五行は火
○色は赤、紫

【震(☳)】

 震は「雷」である。雷は奮い動く。それゆえ震には動くという性質がある。震が動くから、万物は生成発展するが、時には自然災害となって人間を襲う。奮い動くことから、積極的に活動する、勇気や決断力があるという意味となる。また、雷は雷鳴するから音を発する、騒がしい、光や電気の意味となる。
 易占の神様・高島嘉右衛門は、「高島周易講釈(八幡書店)」に次のように書いている(現代語に意訳した)。
「震は一陽が二陰の下にある。陽は剛くて動き升(のぼ)る性質がある。陰は柔らかくて静かに下降する性質がある。震は一陽が二陰の下に抑えられている。憤激して動き上がろうとする形である。人に当て嵌めると大人が小人の下に居る。智者が愚者の下に坐しているから、憤激して発出する形である。」
 そして、震が具えている意味や性質を次のように整理している。(一部、著者が理解できない概念は省略した)
「雷、動く、働く、勤める、憤激、奮発、決断、動揺する、修めて省みる、賢人、祭主、長男、足、東方、春、酸味、青色、肝臓、往く、音、威權、道路、活力、意気地、勇気、勢い、活発、跋扈する、立志、電気、精力、声を発する、地震」
「(初爻)木、大作、事、発起、征討、志、怒る、進む、努力、侠気、率先、攻撃、昇進、気概、判決、侵略」
「(二爻)影響、名誉、雷同させられる、蹂(じゆう)躙(りん)」
「(三爻)雷同させられる、暴挙、傍若無人、蹂(じゆう)躙(りん)」
 黒岩重人著「易を読むために 易学基礎講座」(藤原書店)及び鹿島秀峰著「現代易占詳解」(神宮館)を参考にして、「震(☳)」象意を整理すると次のようになる。
 一陽が二陰の下にある震は、陰に押さえられていた陽が上り進もうとする。
〇自然 雷(電(いなずま)・雷鳴)
○天気は晴れ・雷・地震
○季節は春
○方位は東(後天)、北東(先天)
○五行は木
○色は青、碧(みどり)