十六 雷(らい)地(ち)豫(よ) ・・| ・・・ 悦びすぎるな
いろ(十六)いろ悦ぶ「雷(らい)地(ち)豫(よ)」 互卦 三九水山蹇
※ナンバーツー④が活躍して組織を牛耳る時。全て側近が中心になって動く時である。
側近④はトップに取って代わろうなどと思わず、側近に徹してトップを支える。
側近④の周りに人が集まり、人々は側近④に帰服する。側近④の思い通りに事が運び、何事も調和するので知らず知らずのうちに怠る気持ちが生じる。気を付けるべきである。
今は事を急いではならない。順序を踏んで行うことが大事である。
ゆったりとした音楽を奏でて、神仏と祖先をお祀りするように心がけるべきである。
あらゆることに感謝して、常に志を抱いて志に沿った言行を心がけるべきである。
〇万事、自分が思っている通りになり、心の思うままに何事も調和する。
一つ一つのことが楽しくて仕方がない。そのような時だから、知らず知らずのうちに、怠る気持ちが心の中に芽生えて、少しずつ、少しずつ、崩れかねない時。
それゆえ、外面を飾ることを慎み、怠けて遊ぶことがないように戒め、安定した状態の中に居ても、常にリスクに備え、富貴の立場に在っても、貧賤の立場に在った頃のことを忘れず、常に己の志を胸に抱いて、志に沿った言行を心がけなければならない。
以上のようであれば、吉運を保つことができる。
○運氣が盛んな時。自分より地位が高い人から目をかけられ、権威に与る(権威の恩恵を受ける)時である。 ○成功することを急がず、物事の順序をきちんと守って、事業を行なえば、大成功する。 ○家の主(組織のトップ)は弱々しいけれども、良き妻(優れた側近)が補佐してくれるので、よく治めることができる時。
○才能ある人物を抜擢任用、大事業を一任し、よい結果が得られる時。
○規則を定め、組織のルールを確立して、将来揉め事が起きないように事前に準備しておく時。○発達する予兆が現われる。 ○怠けて豫楽に溺れかねない時。
○お祭り事(祭祀)に関して占った時は吉。
○怠惰が原因となり、事業が廃止に追い込まれる予兆が現われる。
○遊び事や楽しみ事に心を奪われて、事業を怠る。
○遊び回ることやどんちゃん騒ぎなど、ろくでもないことを好きになる時。
① 雷地豫初爻 ・・|・・・ 之卦震為雷 ・・|・・王
あなたは低い身分で才能が低く人徳が欠けているのに、ナンバーツー(かなり偉い人)④に寵愛される。あなたが己を過信して悦楽に耽(ふけ)れば破滅する。
私利私欲を捨てて志を確立し、自分を磨くことが求められる。
〇見識の優れた朋友がチャンスを掴んで立身出世した姿を見て、自分は才能が乏しく世間から必要とされる存在ではないことを知らず、自分もチャンスを掴めば立身出世して幸福になると空想して勝手に喜び他人に自慢するが、立身出世できずに困窮する。
○確乎不抜の志を心に抱いて、自分の実力で世に立つことを心がけるべきである
○地位の高い人から目をかけられ、調子に乗って、私利私欲を貪(むさぼ)ろうとする。
○他の人から助けられる自分のあり方に甘えて、本来やるべき仕事を怠ってしまう。
② 雷地豫二爻 ・・|・・・ 之卦雷水解 ・・|・|・
あなたは柔順で温厚な人柄である。自分のペースで石のように固く節操を守る。
あなたは悦楽に耽溺しないように自戒する。正邪を見抜いて事に速やかに対処し、最後まで正しい道を固く守れば幸福を招き寄せる。
〇意志を強く持ち、他人に依存せず、自立して仕事を全うすれば、盛運を招き寄せる。
意志がグズグズになる可能性もあるので慎まなければならない。
○確乎不抜の志を抱き、チャンスを見きわめ、勇気を持って前進していく時。
○裕福になっても驕り高ぶることなく、貧乏になっても節操を失って貪ることなく、素行自得するべき時である。
③ 雷地豫三爻 ・・|・・・ 之卦雷山小過 ・・||・・
あなたは才徳不足なのに自信過剰。ナンバーツー④に媚び諂って悦楽に耽る。
悦楽に耽って災難を招き寄せてから後悔しても取り返しがつかない。
悦楽に耽ることなく地道にコツコツと本業(持ち場)に徹するべきである。
〇自分の器量を省みて、器量を大きく超えた(分外の)夢や希望を抱いてはならない。自己過信していることに早く気付き、心を改めれば吉運を招き寄せる。
○自分の身分や経済状況を省みずに贅沢することを戒めて、生活費を倹約すべき時。
○幸せを望んでも叶わない時だと覚悟して地道にコツコツと本業に徹するべき時。
○人に媚(こ)び諂(へつら)ったり、権力を持っている人に付き従って、快楽を貪(むさぼ)ろうとする時。
④ 雷地豫四爻 ・・|・・・ 之卦坤為地 ・・・・・・
あなたは才能と人徳を具えて組織を牛耳る(衆陰率いる)トップの側近である。
上下万民悦楽に耽ってあなたに媚び諂う。トップはあなたを嫉妬するようになる。
あなたは私利私欲を捨ててトップに仕え、滅私奉公に徹するべきである。
〇陽剛の才能を具えて、柔順で中庸の徳を具えた君主に仕え、大勢の民衆から信望を得ている。周りから嫉(ねた)まれて危険な地位に居る。
名誉や権力を手に入れようとするような野心がなく、大衆に楽しい社会を享受してもらいたいという志を持っていれば、周りの人々から嫌われない。
占ってこの爻が出たら、己の利益のために、大事業を成し遂げようとしてはならない。
○時の人として、あらゆる負担を担う時でもある。
○周りの人々(親戚や朋友)とよく交流して、何か事を為そうとした時に、信望を得て応援を受けられる時である。
○地位の高い人(上位の人)や部下・お客様(下位の人)から支援されて、事に臨む時。
⑤ 雷地豫五爻 ・・|・・・ 之卦澤地萃 ・||・・・
あなたは側近④に牛耳られるトップである。嫉妬のあまり悦楽に耽ることができない。
トップの地位は揺らがない。この際、自分の意見を通そうなどと思わないで、全て側近に任せてしまうべきである。
〇位は高い(トップ)が、常に側近④の力に頼っている。
何事も自分の思い通りにはならない。慢性化した憂いがあり楽しむことができない。
終には発病してしまう。側近④に支援してもらい、共に事を成し遂げようとすれば志は実現する。トップの位に在るが、時運は側近④に握られている。
○部下の権威に圧倒されて、常に慢性化した憂いを抱く。
○自分の意見を通そうとせずに、賢い人々の意見を務めて用いる。
○お酒に溺れて、病気になってしまいかねない時である。
⑥ 雷地豫上爻 ・・|・・・ 之卦火地晋 |・|・・・
あなたは悦楽に耽溺している。いつまでも悦楽が続くはずはない。自戒すべきである。
あなたはどっぷりと悦楽に耽り酒色や女色に溺れている。いつまでも悦楽に耽溺していると破滅する。深く反省して速やかに過ちを改めれば、更生することができる。
〇悦楽に耽り、酒色に溺れ、恥じることがなければ、終には死に至る。酒色を節制して、淫欲を慎む心があれば、心身共に健全を保つことができる。死に至ることはない。傾きかけた家は、再び繁栄するようになって、盛運を招き寄せる望みがある。速やかに、今犯している過ちに気付き、改めるべきである。
○放(ほう)蕩(とう)を重ねて落ちぶれ、後悔する時である。