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易経(周易)を読み解く 二九(天水訟 四五上)

九四 ――― ‥―‥ (天水訟) 之卦 五九風水渙

九四。不克訟。復即命、渝安貞吉。
○九四。訟(しよう)に克(か)たず。復(かえ)りて命(めい)に即(つ)き、渝(かわ)りて貞に安んずれば吉。
 九四は組織のトップである九五の側近でありながら、組織に不平不満を抱き、九五と争うべく、訴訟を起こそうとする。
 だが、剛健中正の九五が尊(そん)位(い)に居ることを見て、とても勝ち目がないことを悟り、共に訴訟を起こそうとしていた初六を諭(さと)して中止する。
 側近としての大義に復(かえ)って、天命(君命)を悟り、三(さん)省(せい)して側近としての正しい在り方に安んずることができれば宜しい結果となるであろう。
象曰、復即命、渝安貞、不失也。
○象に曰く、復(かえ)りて命(めい)に即(つ)き、渝(かわ)りて貞に安んずとは、失わざる也。
 小象伝は次のように言っている。九四は側近としての大義に復(かえ)って、天命(君命)を悟り、三(さん)省(せい)して側近としての正しい在り方に安んずることができたから、君子としての道を失なわなかったのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
〇相手を訴えようとする心があっても、不可能なことを自覚し、訴えることを断念すべきである。
○自分に勝ち目のないことを認識すれば、幸運を招き寄せる。


九五 ――― ‥―‥ (天水訟) 之卦 六四火水未濟

九五。訟、元吉。
○九五。訟(しよう)、元(げん)吉(きつ)。
 彖辞の「大人を見るに利し」の「大人」とは九五のことである。剛健中正の天子(組織のトップ)九五は組織の中で起こった争い事や訴訟を裁くのがその役割である。
 九五の裁きは公明正大でその威厳と情義に感服しない人はない。それゆえ、全て九五に任せれば大いに宜しい結果となる。
象曰、訟元吉、以中正也。
○象に曰く、訟(しよう)、元(げん)吉(きつ)とは、中正を以て也。
 小象伝は次のように言っている。全て九五に任せれば大いに宜しい結果となる。組織の中で争い事や訴訟が起こる訟の時において、九五のみが中正の德を具えているからである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
〇これまで塞がっていた状態が、初めて公明正大な裁判を経て、志を伸ばすことができる。(本来の役割は訴訟を裁くこと)。
○外部の悪影響を受けて屈折した人・組織が、伸びる状態に入った。

上九 ――― ‥―‥ (天水訟) 之卦 四七澤水困

上九。或錫之鞶帯。終朝三褫之。
○上九。或(ある)いは之(これ)に鞶(はん)帯(たい)を錫(たま)う。終(しゆう)朝(ちよう)に三(み)たび之(これ)を褫(うば)わる。
 剛健だが不中正の上九は、組織に不平不満を抱いて奸(かん)計(けい)(邪(よこしま)な計画)を謀(はか)り、争い事や訴訟を起こす。時には訴訟に勝って栄誉を得ることもあるが、奸計は忽(たちま)ち発覚するので栄誉を喪うことになる。二度と立ち上がることができないほどの致命傷を受ける。
象曰、以訟受服、亦不足敬也。
○象に曰く、訟(しよう)を以て服を受くるは、亦(また)敬するに足らざる也。
 小象伝は次のように言っている。上九は奸(かん)計(けい)(邪(よこしま)な計画)を謀(はか)って、争い事や訴訟に勝利したのである。どうして人から尊敬されようか。
 二度と立ち上がれないほどの致命傷を受けるのは、当然の結果(自業自得)である。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
〇険しいことを行って幸せを求める。訴訟に勝っても、誉められたものではない。訟の卦極で、裁判に勝ち、いい気になって、君子(立派な人)に笑われる。しばらくは、いい思いをするかもしれないが、やがて凶運を招き寄せる。慎むべきである。
○苦労するけれど報われない。
○心の中に心配事や苦しみを抱いている。時々喜ぶことがあっても、また心配事が出てくる。利益を得ても、すぐに損失を蒙る。
○訴訟を起こしてお金に苦しむ。
○言い争いに勝っても、人間的に堕落する。
○他人を騙し欺いて恥をかく。
○狡(ずる)いことをして失敗する。