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易経 繋辞下伝を読み解く 第十二章 二

2022年2月7日

天地設位。聖人成能。人謀鬼謀。百姓與能。
○天地、位を設けて、聖人、能を成す。人(ひと)謀(はか)り鬼(き)謀(はか)りて、百姓、能(のう)に与(あずか)る。
 天地創造によって、形の無かった生命のエネルギー(氣)が形を有する宇宙を形成するようになった。天地宇宙は生成化成して無限に発展し続ける。このような天地の理法を、伏羲を初めとする聖人と称される様々な聖賢の人々が書き継いで「易経」は完成したのである。
 「易経」によって、人々は逃れようのない宿命の中に置かれている自分の運命を認識するとともに、力を尽くして運命を切り開こうとする。時によっては、神仏に祈るような気持ちで筮竹を用いて占いを立て、その結果に従う。「易経」を完成された様々な聖賢の人々の力によって、あらゆる人々が天地宇宙の偉大さを知り、人生を全うできるのである。

八卦以象告。爻彖以情言。剛柔雜居。而吉凶可見矣。變動以利言。吉凶以情遷。
○八卦は象を以て告げ、爻(こう)彖(たん)は情を以て言う。剛柔雜(まじ)わり居(お)りて、吉凶を見る可し。変動は利を以て言い、吉凶は情を以て遷(うつ)る。
 陰陽を現す三つの爻から成る八卦は、その形によって、それが有している様々な性質や自然配当を示しており、八卦が発展した六十四卦を構成している六つの爻は、その段階における時の物語(その時々の状態)を示している。
 六十四卦は、陰陽の陽を現す剛爻と陰を現す柔爻が様々な形で交わっており、位の正不正(奇数位には剛爻が偶数位には柔爻が在る場合を正とする)や卑賤(上下関係)、或いは応比(陰陽の交わりによる相互関係)などによって吉凶が示されている。易を読む者はそのことをよく観察すべきである。
 易の書には、六十四類型の大きな物語と三百八十四類型の小さな物語が一定の法則に従いながら自由自在に変化する様が描かれている。利益は正義を積み上げた結果として得られるものであり、吉凶禍福は正邪を積み上げた結果として一時的に現れる状態を示しているのである。