十三.天火同人 ☰ ☲ 志を一つにしてまとまる時
□人に同じうするに野(や)に于(おい)てす。亨(とお)る。大(たい)川(せん)を渉(わた)るに利(よろ)し。君子の貞(てい)に利(よろ)し。
人と人とが志を同じくして一致団結して事に中る。君子が大きな事業に挑戦する時である
◎象に曰く、天と火とは同人なり。君子以て族を類し物を辨(べん)ず。
☆適材適所の人材が力を合わせ心を一つにして、事業を成し遂げれば吉運を招き寄せる。
○初九。人に同じくするに門に于(おい)てす。咎(とが)无(な)し。
☆私利私欲を捨てて、家の門から出て広く人と交われば、今後の展望が開けていく。
○六二。人に同じくするに宗(そう)に于(おい)てす。吝(りん)。
☆トップしか見えない狭い了見を捨てて、大勢の人と交われば志を成し遂げられる。
○九三。戎(つわもの)を莽(くさむら)に伏(ふ)せ、其(そ)の高(こう)陵(りよう)に升(のぼ)る。三歳まで興(おこ)らず。
☆善からぬ計画を胸に秘めて、他人(六二と九五の子弟関係)を妨害しようとする。
○九四。其(そ)の墉(かき)に乘(のぼ)る。攻(せ)むる克(あた)わず。吉。
☆今は希望は適わないと悟り、反省して自分の志を転換させれば吉運を招き寄せる。
○九五。人に同じくするに、先(さき)には號(ごう)咷(とう)して後(のち)には笑う。大(だい)師(し)克(か)ちて相(あい)遇(あ)う。
☆妨害する人(九三と九四)がいて志を成し遂げられなかったが、漸(ようや)く時運が到来した。
○上九。人に同じくするに郊(こう)に于(おい)てす。悔(くい)无(な)し。
☆世間の苦労から遠ざかり、毀(き)誉(よ)褒(ほう)貶(へん)とは無縁になる。孤独だが悠々自適に過ごすがよい。
十四.火天大有 ☲ ☰ 六十四卦中最も良(善・好)き時
□大(たい)有(ゆう)は、元(おおい)に亨(とお)る。
天上に太陽が燦(さん)々(さん)と輝き普(あまね)く天下万民を慈しみの光で照らす六十四卦中最も善い時である。
◎象に曰く、火(ひ)、天(てん)上(じよう)に在(あ)るは大有なり。君子以(もつ)て惡を遏(とど)め善を揚(あ)げ、天の休(きゆう)命(めい)に順(したが)う。
☆神仏のご加護(天命)によって盛運に向かう。驕らずに権威を保つことが肝要である。
○初九。害(がい)に交(まじ)わる无(な)し。咎(とが)あるに匪(あら)ず。艱(なや)めば則(すなわ)ち咎无し。
☆誰もがはじめは人から信用されない。徐々に運氣は開けていき、やがては盛運に至る。
○九二。大(だい)車(しや)以(もつ)て載(の)す。往(ゆ)く攸(ところ)有り。咎无し。
☆才能と人徳を具えた人が盛運を招き寄せる時。事に中って益々努め励めば幸福を得る。
○九三。公(こう)用(もつ)て天(てん)子(し)に亨(きよう)せらる。小(しよう)人(じん)は克(あた)わず。
☆大衆の上に立って富や地位を得る。至誠の心を貫いて名誉を得る。小人は駄目である。
○九四。其(そ)の彭(さかん)なるに匪(あら)ず。咎无し。
☆トップの信任を得て重大な任務を負っている。人格を磨けば権威が自ずと滲み出てくる。
○六五。厥(その)孚(まこと)、交(こう)如(じよ)たり。威(い)如(じよ)たり。吉。
☆大勢の有力者を使用して大事業を成し遂げ幾久しく名誉を得る。権威を保つことが肝要。
○上九。天より之(これ)を祐(たす)く。吉にして利(よろ)しからざる无(な)し。
☆最善の時を保てるのは才能と智恵だけでなく。神仏(天命)のご加護があるからである。
