五十火(か)風(ふう)鼎(てい) ☲ ☴ 離上巽下
互卦 四三澤天夬 綜卦 四九澤火革 錯卦 三水雷屯
火風鼎☲☴は澤火革☱☲の革命の後、真っ白にリセットされた組織や社会をゼロから創り直していく時である。あらゆる物事をゼロベースで構築していく時と読むこともできる。
物事をゼロベースで構築しようとしても、過去の経験や実績などが記憶に残っていたり、これまでの価値観や考え方に囚われていては、ゼロベースで構築することはできない。そこで、過去の経験や実績、成功体験などを頭の中から捨て去り、あらゆる価値観や考え方を受容して、物事を柔軟にかつ自由自在に発想できるようにならなければならない。
物事をゼロベースで構築しようとする時、安岡正篤先生が提唱する「思考の三原則」が参考になる。一般的に物事を考える時には「短期的」「表面的」「一面的」に考えがちである。これでは、物事をゼロベースで考えることはできない。そこで、「短期的ではなく可能な限り長期的」に、「「表面的ではなく根源的」に、「一面的ではなく多面的ないしは多角的」に考えてみる。
一人ではなく、複数の人がチームを組んで考える場合は、過去の枠組みに囚われている人がいると、なかなかゼロベースで考えることができない。そこで、そのような人をチームに入れないようにすることが肝要である。
物事をゼロベースで考える前に、物事の目的を明確にすることが求められる。例えば、新しい社会を創ろうとしている場合は、どんな社会にしたいのか、その目的をきちんと文章で書き表せるようでなければならない。新しい事業や取り組みを始めようとしている場合も同様である。目的を明確にする場合にも、「短期的ではなく可能な限り長期的」に、「「表面的ではなく根源的」に、「一面的ではなく多面的ないしは多角的」に考えことである。
火風鼎☲☴の卦象を見ると、上卦離☲は火、下卦巽☴は風。風の力で火が盛んに燃えている。巽には「教化、命令、伝達」という性質があるので、物事をゼロベースで構築していくために、よく学び、目的を明確にして、何を行うかを決め、それを命令として組織に伝達して、物事を進めていく。物事を進めて行くには、二三四の互体乾☰の「剛健、寛大、健全、円満、正確、不休、正直」という性質を最大限活用する。物事が順調に進んで行けば、三四五の互体兌☱の「調和」と「恵み」の力によって「悦び」を得られる。最後は上卦離☲の「明智・明德」によって、「明るく輝く」未来を切り開いていくのである。以下省略。