十五地(ち)山(ざん)謙(けん) ☷ ☶
互卦 四十雷(らい)水(すい)解(かい)
綜卦 十六雷(らい)地(ち)豫(よ)
錯卦 十天(てん)澤(たく)履(り)
地山謙は一陽五陰の卦である。上卦坤☷の大地の下に下卦艮☶の山が謙っている。地山謙は剛健で力のある三の陽爻が全体を率いる時である。しかし、組織に当て嵌めると三爻はまだ役員ではなく現場の長である。現場の長が組織を率いることは本来あり得ないことである。だが、三爻にしか組織を率いることはできないので、三爻は大地の下で謙っている艮☶の山のように、表に出ることなく役員に謙って組織を率いるのが地山謙の時である。
地山謙三爻の之卦は坤為地☷☷である。坤為地三爻には「章(あや)を含みて貞にす可(べ)し」とある。「章(あや)を含みて」とは能力を包み隠すことである。地山謙三爻は一陽五陰の一陽だから能力は高い。一陽が働いてくれないと五陰は困ってしまう。しかし、三爻は表に出ることはできない。能力を包み隠して清く正しく真っ直ぐに進むしかない。
三爻は山のように、どっしりと構えて、「孤立や孤独(艮の性質)」に耐え、物事に「貞固(艮の性質)」に対処する必要がある。「黙々と丁寧に(艮の性質)」対処すれば、与えられた大きな任務を成し遂げることができる。
このような役割は普通の人には果たせない。君子だから果たせるのである。このことを「君子終(おわり)有り。」と表現している。君子だから終わりまで任務を全うできる。君子でなければ到底できないことである。
以上のことから、地山謙三爻の役割の大変さがわかる。自分の運勢を占って地山謙三爻が出たら相当苦労することになる。だが任務を全うできれば君子であることが証明される。そもそも易経は君子の学びなのだから苦労は買ってでもすべきなのである。以下省略。