四十六 地風升 ☷ ☴
澤地萃に続いて、地風升も盛運の時である。天風姤で害悪に遭遇したので、みんなで集まって何とかしようと努力したのが澤地萃の時である。その努力が実って、どんどん成長する時が到来したのが地風升である。卦象を見ると上卦坤☷の大地の下に下卦巽☴の木の種(八卦に陰陽五行を当て嵌めると巽☴は木となる。単なる木ではなく、どんどん成長する木である)が埋まっている。
今は大地に埋まっているが、直ぐに大地に芽を出し、すくすく成長していく。盛運の流れに乗って何事も順調に進んでいく。但し、地風升全体を小成卦に見立てると大きな「坎」となる。「坎」には「険しい、困る、苦労が多い、紆余曲折、泣く、悩む、憂う」等のマイナスな性質があることから、盛運を恃(たの)んで調子に乗ると災難を招き寄せるかもしれない。
地風升とセットで押さえておきたいのは、「五三風山漸☴☶」である。地風升は上卦坤の大地の下に下卦巽の木の種が埋まっている形だが、風山漸は山の山頂にすでに大きくなった木が聳え立っている形である。地風升は木の種だからすくすく育ち、どんどん成長するが、風山漸は山頂に聳え立っている大きな木だから、少しずつ成長していく。地風升も風山漸も巽を陰陽五行に当て嵌めて「木」と見立てている。いずれも、木が生長するように升り進む時であるが、地風升はどんどん升り進むのであり、風山漸は少しずつ升り進むのである。
自分の運勢を占って「地風升」が出たら運勢が開けていくことが約束されている。そのことを卦辞・彖辞では「恤(うれ)ふる勿(なか)れ」と言い、彖伝では「恤(うれ)ふる勿(なか)れとは、慶(よろこ)び有る也」と言っている。すなわち、地風升の時は、盛運から一転して困難な状況に陥ったとしても、「心配することはない(恤(うれ)ふる勿(なか)れ)」。その心配は必ず慶びに変わる(慶(よろこ)び有る也)からである。