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六十四卦の概要 地山謙 雷地豫

十五地山謙 ☷ ☶

 地山謙は一陽五陰の卦である。上卦坤☷の大地の下に下卦艮☶の山が謙っている。地山謙は剛健で力のある三の陽爻が全体を率いる時である。しかし、組織に三爻を当て嵌めるとまだ役員ではなく現場の長である。現場の長が組織を率いることは本来あり得ないことである。だが、三爻にしか組織を率いることはできないので、三爻は大地の下で謙っている艮☶の山のように、表に出ることなく役員に謙って組織を率いることになる。地山謙三爻の之卦は坤為地☷☷である。坤為地三爻には「章(あや)を含みて貞にす可(べ)し」とある。「章(あや)を含みて」とは能力を包み隠すことである。地山謙三爻は一陽五陰の一陽だから能力は高い。一陽が働いてくれないと五陰は困ってしまう。しかし、三爻は表に出ることはできない。能力を包み隠して清く正しく真っ直ぐに進むしかない。
 三爻は山のように、どっしりと構えて、「孤立や孤独(艮の性質)」に耐え、物事に「貞固(艮の性質)」に対処する必要がある。「黙々と丁寧に(艮の性質)」対処すれば、与えられた大きな任務を成し遂げることができる。以下省略

十六雷地豫 ☳ ☷

 雷地豫も地山謙と同じく一陽五陰の卦である。地山謙をひっくり返すと雷地豫となる。いわゆる綜卦である。綜卦とは自分と相手がいる場合、自分の立場で見たのが本卦で、相手の立場で見ると綜卦になる。すなわち、地山謙が従業員の立場で見た時とするならば、雷地豫は役員の立場で見た時となる。
 従業員の立場で見ると役員が無能(坤☷)なので、このままでは会社が立ち行かなくなる。そこで、従業員をとりまとめている三爻が中心となって山のように、どっしりと構えて、「孤立や孤独(艮の性質)」に耐え、物事に「貞固(艮の性質)」に対処したのである。しかも、役員の面子を立てて黒子に徹したのである。
 これを役員の立場で見たのが雷地豫である。下卦坤☷の無能な役員がよく動き働く上卦震☳の従業員に任せて高みの見物をしている。働き者の従業員は二三四爻の互体艮☶の山のように、どっしりと構えて、「孤立や孤独(艮の性質)」に耐え、物事に「貞固(艮の性質)」に対処する。以上、雷地豫と地山謙を綜卦の関係で整理してみた。
 一方で次のような見方もできる。同じ一陽五陽でも一陽の位によって内容が全く異なってくる。地山謙の一陽は従業員の立場である三爻に位置していたから、自分の力を発揮するに中り、上卦の役員に謙る必要があった。ところが、雷地豫の一陽は役員の立場である四爻に位置しているから、謙る必要は全くなくどうどうとその力を発揮することができる。このような見方もできる。以下省略