四十雷水解 ☳ ☵
雷水解☳☵は、水雷屯☵☳の上卦が下卦に下卦が上卦に入れ替わった形である。水雷屯は四大難卦の一つで「乾為天(☰☰)と坤為地(☷☷)が交わって何かが産まれ出ようとしているが、産まれそうで産まれないので苦しむ時」である。
水雷屯の時には上卦坎☵の水(慈雨)が降ってくる(生まれることの例え)ことを期待して、下卦震☳は一生懸命活動(震の性質)したが、結局慈雨は降ってこなかった。水雷屯の生まれそうで生まれない困難は水雷屯の時には解決しなかったのである。
水雷屯の困難が解決するのは慈雨が降ってくる時だから、上卦と下卦が入れ替わり、上卦震☳、下卦坎☵で成る雷水解☳☵の時になって解決する(慈雨が降ってきた)のである。
以上のように、雷水解を水雷屯との関係で捉え、水雷屯の下卦震☳の活動によって、上卦坎☵の慈雨が降ってきて、上卦震☳、下卦坎☵と入れ替わって雷水解となり、「生まれそうで生まれない苦しみ」が解決したと解釈することができる。
また、綜卦の水山蹇☵☶との関係において捉え、水山蹇の「困難が前に立ち塞がって苦しむ時」がひっくり返って(綜卦になって)雷水解☳☵となり、「困難を乗り越えて脱出した」と解釈することもできる。厳密に解釈すれば水山蹇の困難は水山蹇の時の中で乗り越えられるので、水山蹇の後に続く雷水解は、大きな困難が解決した後に何を行うべきかを説いている。
易経六十四卦の中には様々な困難な卦がある。四大難卦以外に異常事態地火明夷☷☲、閉塞逼迫して二進も三進もいかない天地否☰☷、陰陽消長卦の下限の直前で君子が小人に剝ぎ落とされる山地剝☶☷、同じく陰陽消長卦の衰運盛んとなり君子は隠遁するしかない天山遯☰☶、お互いに背き合う火澤睽☲☱、盛運から大衰運に転じて苦しむ雷火豊☳☲など様々な困難を乗り越えて物事が解決した時に、これから何を為すべきか、どう考えればよいかを教えてくれるのが雷水解の時である。
困難な時を乗り越えても、問題が完全に解決する事はほとんどない。何か問題が残っているものである。その残った問題に迅速に対応しておかないと、それが要因となって、新しい困難を招き寄せることになりかねない。だから、困難な出来事を乗り越えたとしても安心してはならない。小さな問題がまだ残っているはずである。それを早期に発見して対処することが肝要である。小さな問題も全て解決したならば、大地に包まれるようにゆっったりと時を過ごすがよい。これが雷水解の教えである。