二五 天(てん)雷(らい)无(む)妄(ぼう) ||| ・・| 天災・人災に遭遇する
ニッコリ(二五)天災「天(てん)雷(らい)无(む)妄(ぼう)」 互卦 五三風山漸
※予測不能の天災に見舞われる時である。大自然に順応することが求められる。
黙って天の道(大自然の天変地異)に順う。小賢しい知恵で対処すれば大災害を招く。
人は天の恵みで生かされている。天に見放されてどうして生きていけようか。
天災には天の道で対処する。天の時に素直に順って万物を養育する。
あらゆることが望み通りにはいかない時。妄進すれば天災と人災が続けて起こる。
今は深く慎んで恭しく柔順であることが求められる。
予測不能の天災に小賢しい知恵で対応するよりも、無為自然であることが何よりも重要である。何が起こっても天命だと達観して対応することが求められる。
〇あらゆることが望み通りにはいかない時。深く慎んで、何事にも恭しく柔順に振る舞い、无妄の時が終るのを待つしかない。慎みを忘れて、妄進すれば、天災と人災が続けて起こり、大凶に陥る。正しいことを行なっても、吃驚(びつくり)するほどの災難に襲われる。昔の言葉に「神は善に福を与え、悪に禍を与える」とあるが、これは道德を「勧善懲悪」の一面から述べたに過ぎず、天雷无妄の時は善人が正しいことを行なったとしても、無闇に動けば必ず災難に襲われる。ひたすら慎んで无妄の時が終るのを待つより外に対処法はない。
○何も考えずに、何も行なわないことを「可(よし)」とする時。
○天の道に順って動くしかない。無為自然に対処する時。
○何かを欲して動けば凶。 ○何気ない行動がとんでもないハプニングに発展する。
○ひたすら天命(宿命)に順って行動する時。どんなに智恵を絞っても絶対にうまくいかない時。 ○至誠の心で対処する時。 ○正直な心で対処する時。
○真理は自然。天命に任せて、己の意志を持ってはならない。どんな形で吉凶が現れても、無為自然に対処する。妄動すれば過ちを犯す。禍福を求めずに天の道に順う。
① 天雷无妄初爻 |||・・| 之卦天地否 |||・・・
至誠の心・無私・無欲で天の道を全うする。天命(運命)を心得ているのである。
天命(運命)に素直に順うべし。私心(不義・不正)があれば凶運に転じる。
〇ひらすら至誠の心を抱いて、天の道に順えば吉運となる。少しでも不義・不正の思いが生ずれば、災害(天災・人災)に遭遇する。 ○志を確立する時。
② 天雷无妄二爻 |||・・| 之卦天澤履 |||・||
あなたは無為自然で天の道を全うする。富を求める邪心がないので予想もしていなかった幸運を招き寄せる。希望を叶えようとしては(欲があっては)ならない。
薪を背負って疑う心なく火に向かって行くような時である。それを無為自然に行うからこそ、予想もしていなかった幸福を招き寄せるのである。
〇弱肉強食の時。自分の行いが正しく道理に適っていても、権力者の僕(しもべ)なので、権力者に支配され、小国は大国に呑み込まれる。このような時は、狼狽したり躓(つまず)いたりする。しかし、このような時こそ薪を背負って火に向かって行くようでなければならない。
○思いがけなく祖先の積善の德の恩沢にあずかる時である。
○天沢履と同じく、礼に適っていても危うい立場にいて傷付く時。
○私利私欲から離れる。希望を叶えようとする心を捨てる。物事を前に進めることは難しい。淡々とやるべきことをやるしかない。
○本業(本分)を固く守り、他に心を動かさなければ、思いがけない幸運に出遇う。
③ 天雷无妄三爻 |||・・| 之卦天火同人 ||||・|
何の落ち度もない人が理不尽な災難に巻き込まれることがある。天地自然の道は人間にとって理不尽な時がある。耐え難いことでも受け入れるしかない。
善人が理不尽な災難に巻き込まれる。災難が去る時が来るのを待つしかない。
〇恋人や連れ合いを他人に奪い取られるように、理不尽なことが起こる時。また、他人が愛している女性が行方不明となり、その女性を奪って隠していると疑われることもある。淫行は慎むべきである。強引に災難を逃れようとすれば、大きな災難に襲われる。自然に災難が去って行くのを待つしかない。 ○無実の罪に陥る。
○多くの人の生命を奪う大災害が、誰も予測しない中で起こり得る時。
○人から疑われて、予想外の災難に遭遇することがある。
○対処してもうまくいかない。がんばっても正しく思われない。災難に遭遇する時。
④ 天雷无妄四爻 |||・・| 之卦風雷益 ||・・・|
あなたは妄動しやすいので要注意である。天の道に素直に順えば咎を免れる。
自分の思い通りに事を為そうとしてはならない。分不相応な地位に居るので妄動しかねない。天の道(天命・運命)に素直に順えば咎められない。
無事(生きていること)を幸せと感じることが肝要である。人を羨んではならない。
〇自分の思い通りに事を為そうとしてはならない。陽の性質だが応じる相手はいない。
私利私欲で事を企て、今の立場(社会的地位)を失ってはならない。本業を大切に守って、隣の芝生(他人の仕事)は青いと羨(うらや)ましがってはならない。
无妄の時が終るのをじっと待つしかない。無事を幸せだと感じること。人としての行いを慎んで問題が起こらなければ善しとする。事を為してはならない。
○古い習慣を守って、今のあり方に満足できれば吉である。
⑤ 天雷无妄五爻 |||・・| 之卦火雷噬嗑 |・|・・|
生老病死は天命なので、病は自然に治癒する。時には死に至ることもある。
あなたに邪心がなくても、生老病死は人の常だから、病(やまい)に罹(かか)ることもある。
天命なので病院に行かなくても治る時は治る。治らないこともあるが、天命だから無為自然に生きるしかない。薬漬けで生かされるよりも、寿命を全うすべきである。
○非常事態に遭遇しても慌てふためいてはならない。それほど時が経たないうちに、自然と解決方法が見つかる。
○剛健中正にしてトップリーダーの位に居る。応ずる②もまた中正であるから、无妄の時に適っている。 ○病に罹っても薬を用いることなく、自然に快(かい)癒(ゆ)する。
⑥ 天雷无妄上爻 |||・・| 之卦澤雷随 ・||・・|
無為自然の時が終わろうとしている。無理して進めば災難を招く。
予測不能で無為自然な時の終局だが、大災害が起こるかもしれない。
何が起こっても無理して進んではならない。前に進んではならない時である。
〇計画したことは、既に大きく破綻しており、もうすぐ完全に破綻する。天災と人災に続けて遭遇する。只(ひた)管(すら)祖先の霊をお祀(まつ)りして、災害が去ることを祈るしかない。
○悪人が災難を呼び寄せる時である。運が良ければ善人が来て、諫(いさ)めてくれることもある。速やかにその言葉に随うべきである。
○无妄の極点。ひたすら自戒して動かないようにすべきである。
○困窮して災難に遭遇する時である。 ○大災害が起こる時である。
○上爻変ずると「沢雷隨」となる。流れ矢に中って、兜(かぶと)を射貫かれる。
○天から圧力がかかっている時。 ○過分の望みを抱いて、災難を招く時である。
○首が飛ぶ心配がある。以前、首が飛ぶところを逃れたことがある。
○あっという間に事に敗れて驚愕する時。