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明治十九年出版 高島易断 現代語訳(一部掲載)

2026年7月17日

初九、磐桓。利居貞。利建侯。
○初九、磐(はん)桓(かん)す。貞に居(お)るに利(よろ)し。建(た)てられて侯(こう)たるに利(よろ)し。
象曰、雖磐桓、志行正也。以貴下賤、大得民也。
○象伝に曰く、磐(はん)桓(かん)すと雖(いえど)も、志正しきを行う也。貴(たつとき)を以て賤(いや)しきに下(くだ)る、大いに民(たみ)を得る也。

この爻は陽爻陽位で才能が強くて志も剛強である。それゆえ屯難の世の中に在って民衆を率先して統治する丈夫とする。すなわち下卦震雷の長男として勇気に溢れて剛毅で活動的な性質である。けれども、徒に動くと上卦坎の険難に陥る恐れがある。それゆえ泰然と構えて軽々しく進まないのである。磐(はん)桓(かん)とは家を建てる礎石のように容易に動かないのである。それゆえ正しさを守って剛毅さを持ち続け、国家の大黒柱のような臣下である。よって屯難を救って民衆を安寧に導くべきである。
また対抗する敵がある時に占筮したなら、敵は堅固なので動かすことができない象(形)がある。この時に在りては自分もまた守りを固め自重して妄りに動いてはならない。もしうっかりと進んで行って勝ち負けを争えば、志を得ることができないだけでなく大敗するであろう。それゆえ占辞に「貞に居(お)るに利(よろ)し」と言う。
思うに、安易に動くのはよろしくないが、その行いが常に正しいときは、やがては大いに成就するのである。剛健の德を具えて下に居る。貴い人物が賤しい位に居て大いに人望を得るから、やがて身を立てることになる。それゆえ小象伝に「磐(はん)桓(かん)すと雖(いえど)も、志正しきを行う也。貴(たつとき)を以て賤(いや)しきに下(くだ)る、大いに民(たみ)を得る也」とあるのはこのことを言うのである。

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