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しらす神々 その十二

小さな神様

農業普及を終えて、一年中食べ物(お米)に困らない社会を実現した「おおくに」の神は、農業普及の次に、道路や住宅など生活基盤の整備を進めた。
人々は「おおくに」の神に対して、決して文句や不平不満を言わなかった。しかし、心の底から幸せそうな人はいないと「おおくに」の神は感じていた。
生活基盤の整備は順調に進んでいるのに、どうして人々は幸せそうではないのだろう?なぜだろう?と、「おおくに」の神の心は晴れなかった。
ある日、「おおくに」の神が海辺の岬に佇んで、「どうして人々は幸せそうではないのだろう?」「なぜだろう?」と考えていると、海の彼方から小指の先くらいの小さな舟に乗った小さな小さな神様がやってきた。
小さな小さな神様はとっても魅力的な神様だったので、「おおくに」の神は名前を尋ねてみた。けれども、その神様は何も答えてくれない。お嫁さんの「すせ」の神に尋ねてみても、側近の人々に尋ねてみても、誰もその神様の名前を知らない。「おおくに」の神が悩んでいる「どうして人々は幸せそうではないのか」という疑問に対する答えを、「小さな小さな神様はきっと知っている」と直感したので、どうしても、その神様の名前と素性を知りたかった。
ある日、「おおくに」の神が、その神様の名前を知っている者はいないだろうかと考えながら歩いていると、害虫の「あぁ」と禽獣の「くぅ」が、「その神様の名前なら知ってるよ」と声をかけてくれた。「おおくに」の神は喜んで「その神様の名前と素性を教えてほしい」と言うと、その神様の名前は「うぅ」の神様だよ。天上に居て「何物か」を産み出すことが役割の「う」の神様の御子だよ。と教えてくれた。
「おおくに」の神は天上に昇っていき、「うぅ」の神様が地球にやってきたことを「う」の神様に話したところ、「う」の神様は「たしかに、『うぅ』はわたしの子だ。わたしの手のひらに載せていたのだが、あまりにも小さいので、指の間からこぼれてしまったのだ。これも何かの縁だから、おまえの兄弟分として、楽園創りを手伝わせるので、面倒を見てやってくれ。」と言った。以下省略。