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時の物語 周易六十四卦 校正 9

十九.どんどん進む時

 次は「どんどん進む時」の物語である。時には循環がある。良い時から悪い時に向かう衰運の時。悪い時から良い時に向かう盛運の時。「どんどん進む時」は悪い時から良い時に向かう盛運の時。盛運の中の盛運の時である。人も組織も時の循環の中にある。
 盛運の始めである「二十四.一陽来復する時」はほとんど進んでいるように見えない。「どんどん進む時」は目に見えて進む時である。どんな人でも組織でも「どんどん進む時」の経験があるはずだ。その時を思い出してほしい。常に「どんどん進む時」に居たいが、時は循環するのでそうもいかない。「どんどん進む時」があれば「どんどん下る時」もある。「どんどん進む時」はチャンスを掴む時である。このチャンスを逃してはならない。

 「どんどん進む時」の主人公は「二.素直に順う時」に登場した大学を卒業して社会人になったばかりの「あなた(わたし)」である。

 わたしは昨年の春に大学を卒業し希望していた出版社に入社できた。一年目は新入社員研修を半年間受講して、残り半年は配属された職場(編集部執筆依頼課)で見習いとして仕事をした。二年目からは見習いが外れ一社員として仕事を任された。昔から本が大好きなので今の仕事は楽しい。疑問や不明点があると先輩に聞いたり調べたりして直ぐに解決する。仕事が面白くて毎日が充実している。配属された「編集部執筆依頼課」の仕事は、わが社が出版している文芸雑誌に登壇する作家先生に執筆の依頼をしたり、依頼した原稿を締め切りまでに回収することだ。執筆依頼課には十人の社員が配属されており、一人の社員が二~三人の作家先生の担当者として、原稿の依頼・回収・内容の確認などをしている。以下省略。

二十.立派な人を見習う時

 次は「立派な人を見習う時」の物語である。あらゆる人や組織は盛衰の循環の中にある。「立派な人を見習う時」は衰運の真っ只中に在り、しばらく衰運の時は終わらない。しかし、衰運はいつまでも続かない。やがて下限に到達すれば再び盛運に向かって行く。
 「立派な人を見習う時」は衰運を下限に到達させ、盛運に向かって行くためにある。衰運の真っ只中に在る人や組織は「立派な人を見習う」ことが必要である。

 「立派な人を見習う時」の主人公は、日本史が大好きで日本の歴史を学べば学ぶほど日本の将来に不安を感じる高校生の「あなた(わたし)」である。

 わたしは平成二十一年生まれの十五歳。今年の春高校に入学したばかりだ。数学や物理など理系の科目は苦手だが、国語や歴史などの文系の科目は得意だ。特に歴史の勉強は大好きである。世界史も面白いが、日本人だからやっぱり日本史が面白い。共に暗記科目なので勉強すればするほどテストで高得点が取れる。中学時代は歴史のテストはほとんど百点だった。高校に入ってからは歴史の授業は「歴史総合」「世界史探究」「日本史探究」の三つとなり、「歴史総合」は必修科目、「世界史探究」「日本史探究」は選択科目となった。日本史好きのわたしは当然「日本史探究」を選んだ。以下省略。