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時の物語 周易六十四卦 校正 4

九.柔よく剛を制する時

 次は「柔よく剛を制する時」の物語である。剛(強い者)が柔(弱い者)を制することが多いが、柔(弱い者)が剛(強い者)を制することもある。男子ばかりの組織の中に一人の女子が入ってきた場合や、体育会系で真っ直ぐな人の集まりの中に文系で口上手な人が入ってきた場合などである。「あなた(わたし)」が属している(小は家庭から大は国家までの)組織にも「柔よく剛を制する時」があったはずだ。これから「柔よく剛を制する時」が来るかもしれない。常に「柔よく剛を制している」の組織もあるだろう。

 「柔よく剛を制する時」の主人公は、物心ついた頃から「内心ひそかに女心を温めていた」男子(わたし)である。

 男子に産まれたわたしの心の中に「女心」があることに気付いたのは、小学二年生の時だ。両親や先生は「男の子は男らしく、女の子は女らしくしなさい」と言うが、わたしは男らしくすることに何故か抵抗があり、いつも「女の子になりたい」と思っていた。だが、そんなことを言ったら周りから変な目で見られるので、口に出すことはしなかった。
 そんなわたしだが、勉強は大好きで毎日学校の授業が楽しみだった。いつも成績はトップで両親や先生から褒められた。「女の子になりたい」という禁断の思いは勉強に打ち込むことで忘れようと思った。小学校・中学校と学年トップの成績を収めただけでなく、中学校の全国模試でもトップを射止めた。超難関の高校にトップの成績で合格したわたしは、高校でも毎年トップの成績を収め、エリートの登竜門である東大法学部にトップの成績で入った。以下省略。

十.カリスマに仕える時

 次は「カリスマに仕える時」の物語である。「カリスマ」とは織田信長のようなお殿さまである。信長のイメージは「統率力が高い」「独裁者」「強引」「わがまま」「独りよがり」「自分に厳しいが部下にはもっと厳しい」「人の意見を聞かない」「短氣」などである。
 このような「カリスマ」があなたの属する組織のトップだったら、あなたの苦労は並大抵ではない。組織に属している以上、「カリスマ」に必死に命懸けで付いて行き、絶対に「カリスマ」の虎の尾を履んではならない。もし、あなたが虎の尾を履んだら大変なことになる。それが「カリスマに仕える時」である。
 「あなた(わたし)」が属している(小は家庭から大は国家までの)組織にも「カリスマに仕える時」があったかもしれない。これから「カリスマに仕える時」が来るかもしれない。常に「カリスマ」がトップに君臨している組織もあるだろう。

 「カリスマに仕える時」の主人公は、生まれつき何をやらしても直ぐにできてしまう極めて適応能力が高い(できてしまう)「あなた(わたし)」である。

 わたしは小さな頃から家族や親戚、近所の人々から「神童」と呼ばれた。自分が生まれた時の光景や母親の言葉をはっきりと記憶している。産まれて一月後には母親が何を言っているか理解できた。普通の赤ちゃんがハイハイする頃にはしっかり立って歩いた。このような姿を見て、家族も親戚や近所の人々もみんな驚いて、いつの間にか「神童」と呼ばれるようになった。幼稚園に入る前、両親にせがんで小学生向きの伝記を買ってもらい幼稚園に入る前に読み終えた。幼稚園に通い始めると、幼稚園児とは思えない知識に先生方は大変驚愕し、幼稚園でも「神童」と呼ばれるようになった。その後、小学校・中学校・高校・大学と「神童」と呼ばれ続けて青少年期を過ごした。成績はトップクラス。スポーツ万能で美術も音楽も得意だった。あえて苦手なことを挙げれば、母親がどんなに工夫して調理してもピーマンは苦手だ。それ以外は何をやってもできてしまうので、何に対しても一生懸命になれない。一生懸命になれないから、成績はトップクラスだがトップになったことはない。スポーツもプロになれるほどの実力はない。美術も音楽も同じだ。以下省略。