毎日連載! 易経や易占いに関する情報を毎日アップしています。

時の物語(易経短編小説集・近日中に出版予定)3

二.素直に順う時

 次は「素直に順う時」の物語である。誰にでも「素直に順う時」がある。素直に順えば順うほど報われる時がある。「あなた(わたし)」にも「素直に順った時」があったはずだ。素直に順ったから報われた時があったはずだ。あるいは、これからは「素直に順おう」と思っていることがあるかもしれない。または、いつも「素直に順っている」人もいるだろう。人間には「素直に順う時」がある。「素直に順わなければならない時」もある。
 「素直に順う時」の物語。主人公は「あなた(わたし)」である。

 わたしは今大学四年。来年の春から社会人として働く。幸い希望していた会社に採用されたので胸に希望が溢れているが、ちょっと不安もある。親のすねをかじって気ままにやってきた学生時代がもうすぐ終わり、社会人になったらどんな心構えで仕事に取り組めばよいか。尊敬する大学の先輩に聞いてみた。
 先輩は某大手銀行に就職して二年目になる。一年目は新入社員研修に明け暮れていたが、二年目になった今年からは都内の某支店で融資の担当者として毎日顧客である中堅企業を訪問して、融資の相談に乗っている。その先輩が勤めている某支店の近くにあるファミレスで待ち合わせをした。まだ、約束の時間には三十分近くある。わたしはメニューをそれとなく眺めていたが、どれを見ても美味しそうで迷ってしまった。テーブルの呼び出しベルを押して店員に来てもらい、ランチメニューの中でどれが一番美味しいかを聞いてみると、店員は「どのメニューもとっても美味しいですよ」と答えた。わたしは「それはそうかもしれないけれど、それでは答えになってないなぁ」と思ったので「今から連れが来るので注文はその時にします」と言って、注文するのは先延ばしにした。以下省略。