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はじめての易経 59.風水渙

五十九風水渙 ☴ ☵ 巽上坎下

 互卦 二七山雷頤☶☳
 綜卦 六十水澤節☵☱
 錯卦 五五雷火豐☳☲

 風水渙☴☵は、上卦巽☴の突風(外部環境の大きな変化)により下卦坎☵水の水面が砕け散って(組織が)バラバラになる。不(ま)味(ず)いことになったと(トップが)危機感を抱き、原点(先祖の御霊や組織創業の理念)に戻り、求心力を高めて、バラバラになった(組織の)状態を一つに纏(まと)め(組織を以前よりも)一体化させることに成功する(雨降って地固まる)時である。
 風水渙の卦辞・彖辞に「王、有(ゆう)廟(びよう)に仮(いた)る。/王さま(トップ)は先祖の御(み)霊(たま)屋(や)(当家の開祖をお祀りしている廟・日本なら仏壇や神棚)や創業の理念に思いを馳せて祭祀する。」とある。上卦巽☴の突風により、組織がバラバラに砕け散ったので、不(ま)味(ず)い状況だとトップが判断し、一つにまとめるために組織(開祖や創業)の原点(理念)に復るのである。このように不慮の出来事によって組織がバラバラに砕け散った場合は、何のために組織が存在しているかという組織設立の目的を開祖の御霊屋や創業の理念を通して再確認し、組織構成員の気持ちを一つにまとめるのである。一旦、バラバラに砕け散ったからこそ、一つにまとまる力が大きく働く。雨降って地固まるのである。
 風水渙と似ている状況に置かれている卦に震為雷☳☳がある。震為雷は連続して雷鳴轟き地震が起こり、人々はパニック状態となって慌てふためく時である。王さま(トップ)はこの混乱した状況を治めて人々の気持を一つにまとめることが求められる。そこで、震為雷の彖伝には「宗(そう)廟(びよう)社(しや)稷(しよく)を守り、以て祭(さい)主(しゆ)と為(な)る可(べ)き也。/(連続して雷鳴轟き地震が起こり、人々はパニック状態となって慌てふためく時に、王さま・トップが泰然として落ち着いているならば、)その社会や組織の原点である開祖の御霊屋や創業の理念を再確認して、社会や組織のトップとしての責務を果たすことができるのである。」と書いてある。
 以上、社会や組織が一種のパニック状態に陥った時に、社会や組織のトップとして、社会や組織の原点に復って対処すべきことを風水渙と震為雷から学ぶことができる。

 以上が風水渙の概要である。
 ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。(太字を読めば理解できる。)以下省略。