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はじめての易経 41.山澤損

四十一山澤損 ☶ ☱ 艮上兌下

 互卦 二四地雷復☷☳
 綜卦 四二風雷益☴☳
 錯卦 三一澤山咸☱☶

 山澤損☶☱は地天泰☷☰の変形である。地天泰の上六が下に降って六三となり、九三が上に昇って上九となったのが山澤損だと云う説である。地天泰☷☰の時には下卦は全て陽爻だったが、山澤損☶☱になると下卦の陽爻は一つ減って上卦に移動した。すなわち、下(下卦)が損して(陽爻が減って)、上(上卦)が得した(陽爻が増えた)と考えるのである。
 この考え方を人間社会に当て嵌めると、家庭においては、子供が貰ってきた(稼いできた)お金を両親が貰って、家計の足しにする。子供は損するけれども、家計が増えて家庭が豊かになるので結果的には子供も豊かになる。会社においては、業績が落ちたので、従業員の賞与を減らした。従業員は損するけれども、会社の財政は健全化して、その後業績も伸び、利益も増加する事になるので、次の賞与は倍増して従業員は喜ぶ。国家においては、不景気で税収が落ちたので予算を確保するため、政府は増税する。国民や企業は税金が上がって損するが、増税により増えた税収で政府は経済対策に力を入れるので好景気となり、国民や企業の所得が大きく増えて、結果的に国民や企業は豊かになる。
 以上、一時的には下(下卦)が損して(陽爻が減って)、上(上卦)が得する(陽爻が増える)けれども、結果的には上も下も得することになる。
 山澤損を卦象から見ると、上卦艮☶は「どっしりと安定しており、下の人々から尊崇される指導者」である。下卦兌☱は上卦艮☶を仰ぎ観て、その期待に応えようと悦んでいる」のである。上と下とこのような信頼関係で結ばれているから山澤損の時が成り立つのである。

 以上が山澤損の概要である。
 ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。(太字を読めば理解できる。)以下省略。