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はじめての易経 30.離為火

三十離為火 ☲ ☲ 離上離下

 互卦 二八澤風大過☱☴  綜卦 同(離為火)
 錯卦 二九坎為水 ☵☵

 易経には「天地人三才(天の道・地の道・人の道の三つがある)」という考え方があるが、「一.乾為天☰☰」から「三十.離為火☲☲」までの上経(じようけい)は「天の道・地の道」を大きく示しており、上経(じようけい)を締め括る「二十九.坎為水☵☵」と「三十.離為火☲☲」は上経(じようけい)で示した「天の道・地の道」を、下経(かけい)の「人の道」に繋げているように思える。すなわち、太極(無限のエネルギーと陽と陰の働き)によって天地宇宙が創造され、万物が生成発展する過程の中で地球という惑星が誕生し、その惑星に人類が生まれ、文明を発展させたことを三十類型の物語として示しているのである。
 地球という惑星を誕生させたのは「一.乾為天☰☰」と「二.坤為地☷☷」の相互作用であり、地球上に生まれた人類が、他の惑星には見られない文明を創造発展した。文明を発展させるために必要不可欠なのは「水と火」であり、人類が文明を創造発展させることができたのは、他の生物には決してできない「水と火」を制御することができたからである。
 すなわち、上経(じようけい)が「一.乾為天☰☰」と「二.坤為地☷☷」から始まるのは、地球という惑星を誕生させた原理原則を物語として示すためであり、「二十九.坎為水☵☵」と「三十.離為火☲☲」で終わるのは、人類だけが成し遂げた「水と火」を制御する方法を物語として示すためであると考えることができる。
 以上のことから、「坎為水☵☵」は「水害・水難・困苦」など「坎水」の性質がもたらす艱難辛苦を人類が乗り越えるための物語を示し、「離為火☲☲」は「爆発・争う・競う・中虚・虚飾」など「離火」の性質がもたらす艱難辛苦を人類が乗り越えるための物語を示していると考えることもできる。
 離為火の時は下卦を過去の文明(成功)、上卦を今または将来の文明(困窮)と見立てることができる。日本の歴史に重ねると下卦(成功)は建国から江戸時代に至るまでの文明創造であり、上卦(失敗)は明治維新から今日までの文明崩壊である。日本の文明を崩壊させないためには、建国から江戸時代に至るまでの文明創造期に何を考え何を行ったかをよく学び、それを現在に取り入れることが求められるが、今の日本政府は過去を切り捨て否定して政治を行っている。これでは文明は崩壊するしかない。
 このように、下卦を過去の文明(成功)、上卦を今または将来の文明(困窮)と見立てて、離為火の爻辞を読めば、今日本政府が何を行うべきか、その答えが書いてある。

 以上が離為火の概要である。
 ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。(太字を読めば理解できる。)以下省略。