■吉(きつ)凶(きよう)悔(かい)吝(りん) 吉は吝(怠惰)を経て凶に向かい、凶は悔(後悔)を経て吉に向かう。大學(四書五経の一つ)にある「忠信以て之を得、驕怠以て之を失う」と同じ意味である。人間は報われない状況(凶の状態)にあると、自分のこれまでの考え方や言行を反省して改善する。その行為が一定の量と質に達すると報われた状況(吉の状態)に移行する。これが凶と悔と吉の関係であり、大學の「忠信以て之を得/素直で真心があり一生懸命物事に取り組めば、功を上げて、地位や名誉や富を得ることができる」である。けれども、人間は報われた状況(吉の状態)にあると、調子に乗ったり、これまでの努力を少しずつ怠るようになる。その行為が一定の量と質に達すると報われた状況(吉の状態)から報われない状況(凶の状態)に移行する。これが吉と吝と凶の関係であり、大學の「驕怠以て之を失う/功を上げて、地位や名誉や富を得ると、少しずつ傲り高ぶり怠るようになり、地位や名誉や富を失う」である。
■窮(きゆう)変(へん)通(つう)久(きゆう) 窮すれば変ずる。変ずれば通ずる。通ずれば久しい。困窮するからこそ変化することができる。困窮しない状態では変化を嫌うものである。その変化の方向性と大きさが妥当であれば物事が開ける、通じるようになる。物事が開けて通じるようになれば、その状態は幾久しく続くようになる。けれども、一定の期間が経過すれば、また、困窮するようになり、変化することが求められる。これを繰り返していくのである。
■陰陽消長の循環 全て陽爻で成る「乾為天☰☰」を上限として、全て陰爻でなる「坤為地☷☷」を下限とした場合、上限☰☰から下限☷☷に至るまでの循環を、陰爻が下から長じていき下限に到達する(☰☴→☰☶→☰☷→☴☷→☶☷→☷☷)と考え、下限か☷☷ら上限☰☰に至るまでの循環を、陽爻が下から長じていき上限に到達する(☷☳→☷☱→☷☰→☳☰→☱☰)と考える。以下省略。