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易経(周易)を読み解く 三二(地水師 四五上)

六四 ‥‥‥ ‥―‥ 之卦 四十雷水解
六四。師左次。无咎。
○六四。師(いくさ)左(しりぞ)き次(など)る。咎无し。
 六四は能力不足だが控え目なので、軽(けい)挙(きよ)妄(もう)動(どう)することなく守りを固め、軍隊(組織)を退去(後退)させる。戦に勝つことはできないが、咎められることもない。
象曰、左次、无咎、未失常也。
○象に曰く、左(しりぞ)き次(など)る、咎无しとは、未(いま)だ常(つね)を失わざれば也。
 小象伝は次のように言っている。六四は能力不足だが控え目なので軽(けい)挙(きよ)妄(もう)動(どう)することなく守りを固め、軍隊(組織)を退去させる。戦(いくさ)には勝てないが咎められない。
 リーダーとしての己の非力を認識して、軍隊(組織)を退去(後退)させる。戦(いくさ)を率いる者の常道だからである。己の非力を認識していないリーダーは組織を破滅させかねない。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)進んで事を為す時ではない。退いて氣力を養い、時が到来するのを待って動くべき。この時にリーダーの地位を得たら、衆人の利害を守るために努力すべき。自分の名誉など考えず、衆人に害悪が及ぶと判断したら、退いても、衆人を守ることを優先すべきである。
○リーダーの役割を全うするために、今は退くべきである。

六五 ‥‥‥ ‥―‥ 之卦 二九坎為水
六五。田有禽、利執言。无咎。長子師帥。弟子輿尸。貞凶。
○六五。田(でん)に禽(きん)有(あ)り、言(げん)を執(と)るに利し。咎无し。長(ちよう)子(し)師(いくさ)を帥(ひき)いる。弟(てい)子(し)は尸(しかばね)を輿(の)す。貞なるも凶。
 六五のトップは、田(た)を禽(きん)獣(じゆう)が荒らすように、国外から乱(らん)賊(ぞく)が攻めて来た(組織外の敵が攻めて来た)時は、威厳をもって九二の長老や経験豊富な人物に命じて乱賊(組織外の敵)を征伐する。自分の組織を守るためだから、誰からも非難されない。
 六五のトップがリーダーとしての資質を具えた九二の長老や経験豊富な人物を抜擢任用すれば、九二は軍隊(組織)を統(とう)率(そつ)して勝利を得ることができるが、リーダーとしての資質に欠ける六三を抜擢任用すれば屍(しかばね)を車に載せて帰ることになる。兵士(部下)が頑張って戦ったとしても敗れること必至である。
象曰、長子師帥、以中行也。弟子輿尸、使不當也。
○象に曰く、長子師を帥いるは、中行を以て也。弟子は尸を輿すとは、使うこと當らざる也。
 小象伝は次のように言っている。リーダーとしての資質を具えた九二の長老や経験豊富な人物を抜擢任用すれば勝利を得ることができる。九二は時に中(あた)って戦(いくさ)を遂(すい)行(こう)するからである。リーダーとしての資質に欠ける六三を抜擢任用すれば屍(しかばね)を車に載せて帰ることになるのは、六三を抜擢任用することが道理に適(かな)っていないからである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)損害の賠償や名誉回復を図るのに適当な時。誰に委託するのかが肝要である。もし、その器でない人物を選んで委託すれば、とんでもない大失敗を招く。
○王(トップリーダー)が大将(プロジェクトリーダー)に命令して、戦争(事業)を全面的に任す時である。
○王(トップリーダー)に委託された大将(プロジェクトリーダー)がその器でない時は、その大将(プロジェクトリーダー)が人間失格の烙印を押される恐れがある。
○一人の優れた人物をリーダーとして一任すれば吉を招く。リーダーの選択を誤れば必ず失敗する。

上六 ‥‥‥ ‥―‥ 之卦 四山水蒙
上六。大君有命。開國承家。小人勿用。
○上六。大(たい)君(くん)命(めい)有り。國(くに)を開き家を承(う)く。小(しよう)人(じん)は用(もち)ふる勿(なか)れ。
 上六は戦(いくさ)の終わりに対処する道(方法)を説いている。六五の大君(威厳あるトップ)が家臣(部下)に論(ろん)功(こう)行(こう)賞(しよう)を命ずる。大きな功績を上げた家臣(部下)の中から、君子(滅私奉公の精神で働ける人)を諸(しよ)侯(こう)に封(ほう)じ卿(けい)大(たい)夫(ふ)に(重役に)任用する。
 例え大きな功績を上げても、小人(私利私欲で動く人)を諸侯に封じ卿大夫(重役)に任用してはならない。小人を重役に任用すれば組織を滅ぼしかねない。
象曰、大君有命、以正功也。小人勿用、必亂邦也。
○象に曰く、大(たい)君(くん)命(めい)有りとは、以て功(こう)を正す也。小人は用ふる勿れとは、必ず邦(くに)を亂(みだ)れば也。
 小象伝は次のように言っている。六五の大君(威厳あるトップ)が家臣(部下)の中から君子(滅私奉公の精神で働ける人)に論(ろん)功(こう)行(こう)賞(しよう)を命ずるのは、功績の大小軽(けい)重(ちよう)を正当に評価・表彰することが国(組織)を治める上で大変重要だからである。
 小人(私利私欲で動く人)を諸侯に封じ卿大夫(重役)に任用してはならないのは、小人は必ず私利私欲で動いて、国(組織)を乱すからである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)この爻が出たら、ある事を委託する際に人物を得て、事を成し遂げた時である。その後戒めと慎みの心を失えば、成果はあっという間に失われてしまう。細心の注意で警戒しなければならない。
大きな志を実現した時だから、その後のあり方が肝要である。論功行賞に依怙贔屓があってはならない。忠実で正直な人材には、それに応じた処遇を与える事で、良き国風を育むべきである。表面だけ忠正を装っている小人に良き処遇をすれば、その後、害悪を招く。
○論功行賞を与える時。小人には高い地位を与えてはならない。業績に応じた俸禄を与えるに止めるべきである。