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易経(周易)を読み解く 百四三(澤地萃 全体)

四五 澤(たく)地(ち)萃(すい) ‥――兌澤 ‥‥‥坤地
互卦 五三風山漸  綜卦 四六地風升  錯卦 二六山天大畜
萃、亨。王假有廟。利見大人。亨。利貞。用大牲吉。利有攸往。
○萃(すい)は亨(とお)る。王、有(ゆう)廟(びよう)に假(いた)る。大人を見るに利(よろ)し。亨る。貞しきに利し。大(たい)牲(せい)を用ひて吉。往く攸(ところ)有るに利し。
 萃は人や物が集まって栄える時である。剛健中正の九五の天子(トップ)が先祖の宗廟(みたまや)(日本においては伊勢神宮)で真心込めて神(しん)霊(れい)(天照大御神を始めとする天(あまつ)神(かみ))をお祭りする。天下の臣民(萬民)は九五の天子(トップ)を仰ぎ見て、心服するから宜しくして、物事がすらっと通るのである。人や物が集まって栄えるから天下はよく治まる。正しい道(道德)を固く守るが宜しい。何事もうまくいくであろう。萃の時は、牛・羊・豕(ぶた)を供えて盛大にお祭りすれば、幸運を招き寄せる。進んで行って大事業に取り組んでも宜しい。

彖曰、萃、聚也。順以説、剛中而應。故聚也。王假有廟、致孝享也。利見大人、亨、聚以正也。用大牲吉、利有攸往、順天命也。觀其所聚、而天地萬物之情可見矣。
○彖に曰く、萃は聚(あつ)まる也。順にして以て説(よろこ)び、剛中にして應ず。故に聚まる也。王有(ゆう)廟(びよう)に假(いた)るとは、孝(こう)享(きよう)を致す也。大人を見るに利し、亨るとは、聚まるに正を以てする也。大(たい)牲(せい)を用ひて吉、往く攸有るに利しとは、天命に順ふ也。其の聚(あつ)まる所を觀て、天地萬物の情見る可(べ)し。
 彖伝は次のように言っている。萃は多くの人や物が集まって栄える時である。上卦兌は悦び、下卦坤は順う。上の者が下の人々が悦(よろこ)ぶ政治を行うから下の人々はそれに順う。のである剛健中正の天子(トップ)九五と柔順中正の賢臣六二が相応じて政治を司っている。九五の天子(トップ)が先祖の宗廟(みたまや)(伊勢神宮)で真心込めて神(しん)霊(れい)(天照大御神を始めとする天(あまつ)神(かみ))をお祭りする。大人たる天子(トップ)が孝心を尽くして盛大なお供え物で先祖(天照大御神を始めとする歴代天皇陛下)を祭れば、萬民はその姿を仰ぎ見て順う。天下の臣民(萬民)は九五の天子(トップ)を仰ぎ見て心服する。人や物が集まって栄えるから天下はよく治まる。正しく人の道(仁)に適(かな)っているからである。
 萃の時は、牛・羊・豕(ぶた)を供えて盛大にお祭りすれば幸運を得る。進んで行って大事業に取り組んでも宜しい。天命に適(かな)っているのである。多くの人や物が集まる所を観察して、天地萬(ばん)物(ぶつ)が生成化育する原理原則を識(し)るべきである。

象曰、澤上於地萃。君子以除戎器、戒不虞。
○象に曰く、澤、地に上(のぼ)るは萃なり。君子以て戎(じゆう)器を除(おさ)め、不(ふ)虞(ぐ)を戒(いまし)む。
 大象伝は次のように言っている。澤が地の上に在るのが萃の形である。澤に水が満ちれば草木は茂り多くの人や物が集まる。だが、水が集まれば澤が氾濫・決潰し、人が集まれば争いが始まり、物が集まれば奪い合いが起こる恐れもある。
 君子はこの形(多くの人や物が集まれば社会は栄える。だが、人や物が集まれば争いや奪い合いが起こる恐れがあること)に鑑みて、軍備を整え不測の事態に備えるのである。

【以下、高島易断から占いとしての見立てを引用】
(占)国家においては、明智を具えた聖人君子が君主の位に、賢臣が宰相の位に在る。現場で働く臣下たちは君主よりも宰相を頼っているので、権力が君主と宰相に二分する時である。
○大地の上に沢が在るので洪水の可能性もある。だが、物が集まる時なので、豊作を願って、神仏をお祭りすべきである。
○五穀豊穣で人々は富有になり社会は繁栄する。トップが祖先を大切にして、親孝行すれば、吉運を招き寄せる。自分のことより先祖のお祭りを優先して、親孝行を尽くせば、吉運は子孫にまで及ぶ。
○富者と貧者が協力して事に臨むので、吉運を招き寄せる。
○真心を持って人と接すれば、良好な人間関係を結べる時である。
○財産が集まる時。 ○人々が集まる時。
○自分と相手の損益を見れば、相手に利益が集まる時である。
○標高が低い地域は洪水を防ぐ対策を打つべきである。
○市場に商品が溢れて物価が下がる時である。