第六章 労働と肉体
○下層の労働者階級はがっしり逞しい体格をしているが、力仕事をして筋肉を発達させ
以上は、下層の労働者階級に対する肯定的な評価(上層階級に対しては否定的な評価)である。渡辺京二さんは「意外な記述が見られる」と書いているが、下層の労働者階級ががっしり逞しい体格をしているのは、時空を超えて世界共通ではないだろうか。
△何もしていない人々、その数は日本ではかなり多いのだが、そんな人達は火鉢の周りにうずくまって、お茶を飲み、小さなキセルを吸い、彼らの表情ゆたかな顔にはっきりと現れている満足げな様子で、話をしたり聞いたりしながら、長い時間を過ごす。彼ら日本人のやさしい気質、親切な礼儀作法、矯正不可能な怠惰を真に味わえるのは、こんな風に寄り集まった日本人に接する時である。仕事に対する愛情は日本人には美徳ではない。彼らのうちの多くは、ヨーロッパ人には考えもつかないほど不精者である
以上は、ヨーロッパ人の労働観に基づく日本人労働者に対する否定的な評価だ。しかし、キリスト教の「罰としての労働の義務」という物差しで、神が労働をする神道の価値観に基づき生活の中に溶け込んでいる日本人の労働観を適切に評価できるはずがない。
