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明治十九年出版 高島易断 現代語訳(一部掲載)

【占例】高島嘉右衛門が易断を間違えて迷惑をかけた
わたしは常に易経の神妙なことを愛しており深く学ぶようになってから久しい。それゆえ家族もまた易経を嗜(たしな)む者が少なくない。わたしの弟である徳右衛門も易経を好んで学んでいる。ある日昔の手代(使用人)が弟の徳右衛門が住んでいる木(こ)挽(びき)町(ちよう)の家にやって来た。
昔の手代(使用人)は「最近商売が振るわなくてほとんど休業しているような状態である。それゆえ、失う物は沢山あるが益するものは何一つない。特に今日などは全く振るわないので廃業して外の善き事業に就きたいと思っている。その可否如何を占筮してほしいと願っている」と言った。そこで弟の徳右衛門が占筮したところ水雷屯の上爻を得た。
上六の爻辞には「馬に乗りて班如たり。泣血(きゆうけつ)漣如たり」とある。水雷屯の卦は困窮すること甚だしい時である。動かなければ安んずることができない。動こうとすれば進むことができずに☵水に陥る。馬に乗ると進むべき方向に迷って涙を流して泣くしか方法がない形である。今は昔の手代(使用人)が善い仕事を求めても何も利益はない。しばらく黙って動かないで時が至るのを待つべきだと断ずる。

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