九五.屯其膏。小貞吉。大貞凶。
○九五。其の膏(めぐみ)を屯(とどこお)らす。小は貞にして吉。大は貞にして凶。
象曰、屯其膏、施未光也。
○象に曰く、其の膏(めぐみ)を屯(とどこお)らすとは、施(ほどこ)すこと未(いま)だ光(おおい)ならざる也。
九五は中正(中庸と正位の徳)にして君位に在る。そうだけれども、今は屯難の世の中なので水の恵みを下々に施すことができない。すなわち下々に施す恩澤が滞っている。それゆえ小象伝に「其の膏(めぐみ)を屯(とどこお)らすとは、施(ほどこ)すこと未(いま)だ光(おおい)ならざる也」と言う。思うに九五は君徳も位も得ているのにどうしてうまくいかないのか。それは今は屯難の真っ只中にあって何事も塞がれているからである。
詳しく言えば、九五が比する上下の爻は陰爻なので、陰に取り囲まれているので私情に引っ張られて六二の忠臣が九五を慕っていても陰爻で才能がないので屯難を救うことができないのである。けれども九五は中正の徳を具えているから君位に在る。
