十九．地澤臨 ☷ ☱ 盛運が軌道に乗ってくる時
□臨は、元(おおい)に亨(とお)る。貞(ただ)しきに利し。八月に至りて、凶有り。
陽剛君子（初九・九二）の勢いが盛んに伸びて、やがて天下泰平（十一地天泰）となる。
◎象に曰く、澤(さわ)の上に地(ち)有るは臨なり。君子以(もつ)て教え思うこと窮(きわ)まり无(な)く、民(たみ)を容(い)れ保(やす)んずること疆(かぎ)り无(な)し。 ☆自分の方向性を定めて誠の心と篤実さを貫けば何事もすらすら通じて成就する。民衆は大いに喜び、組織（社会）は繁栄の道を歩み始める。
○初九。咸(かん)臨(りん)す。貞(てい)にして吉(きつ)。
☆志を同じくする上司（六四）と共に力を尽くして事を成し遂げる。運氣が盛んに進む時。
○九二。咸(かん)臨(りん)す。吉(きつ)にして利(よろ)しからざる无(な)し。
☆天運盛んな時。上の人（六五）から抜擢されて幸運を招き寄せる。諫言することもある。
○六三。甘(かん)臨(りん)す。利(よろ)しき攸(ところ)无(な)し。既(すで)に之(これ)を憂(うれ)うれば咎(とが)无(な)し。
☆知恵も力もないのに小賢しいことを考えて人を惑わそうとする。自ら戒心するがよい。
○六四。至(し)臨(りん)す。咎无し。
☆下位の賢者（初九）と協力し合って事を為し遂げる。前例に囚われずに賢者を抜擢する。
○六五、知(ち)臨(りん)す。大(たい)君(くん)の宜しきなり。吉。
☆思慮深く見識がある。部下（九二）を抜擢し、諫言も受け容れ共に大事業を成し遂げる。
○上六。敦(とん)臨(りん)す。吉。咎无し。
☆トップ（リーダー）の相談役として至誠の心で事業を成し遂げる。部下を信用している。
二十．風地観 ☴ ☷ 上が下を周(あまね)く観て手本を示す時
□觀は盥(かん)して薦(すす)めず。孚(まこと)有り顒(ぎよう)若(じやく)たり。
上の者が下の者を周(あまね)く観て手本を示す。下の者は上の者を仰ぎ観て尊崇するようになる。
◎象に曰く、風、地の上を行くは觀なり。先王以て方を省み、民を觀て教を設く。
☆上の人は下の人を教え導き下の人は上の人を信服する。尊敬して慎む時。教え諭す時。
○初六。童(どう)觀(かん)す。小(しよう)人(じん)は咎(とが)无し。君子は吝(りん)。
☆遠くまで見通せない。耳目聡明ではない。君子を目指すならば今の自分を恥じるべき。
○六二。闚(き)觀(かん)す。女(じよ)の貞(てい)に利(よろ)し。
☆立派なお寺で修行した立派なお坊さまに謁見して恐れおののいている。勇気が足りない。
○六三。我が生(せい)を觀(み)て進(しん)退(たい)す。
☆自分が為し遂げようとする事業の成否を冷静に判断し、志を立てて進退を決定すべし。
○六四。國(くに)の光を觀(み)る。用(もつ)て王に賓(ひん)たるに利(よろ)し。
☆時を観察し状況を知り尊崇する貴人（九五）に仕える。苦労の中から吉運が開けていく。
○九五。我が生(せい)を觀(み)る。君子なれば咎无し。
☆（君子や大人と称される立派な人）が天命を授かって小人（凡庸な人）を教え導く時。
○上九。其(そ)の生を觀(み)る。君子なれば咎无し。
☆天下の重(じゆう)鎮(ちん)としてトップの相談役としての大任に中る。君子であり続けることが肝要。
