火風鼎☲☴の卦象を見ると、上卦離☲は火、下卦巽☴は風。風の力で火が盛んに燃えている。巽には「教化、命令、伝達」という性質があるので、物事をゼロベースで構築していくために、よく学び、目的を明確にして、何を行うかを決め、それを命令として組織に伝達して、物事を進めていく。物事を進めて行くには、二三四の互体乾☰の「剛健、寛大、健全、円満、正確、不休、正直」という性質を最大限活用する。物事が順調に進んで行けば、三四五の互体兌☱の「調和」と「恵み」の力によって「悦び」を得られる。最後は上卦離☲の「明智・明德」によって、「明るく輝く」未来を切り開いていく。
上卦離☲の火は、下卦巽☴の風の力によって、どんどん大きくなっていく。風は目的を命令として組織に伝達して物事を進めていく。物事は剛健かつ健全(二三四の互体乾☰)に進んで行き、調和と恵みの力で悦び(三四五の互体兌☱)となる。終には明るく輝かしい未来が切り開ける。経文(卦辞・彖辞)に「鼎は元吉、亨る。/物事をゼロベースで構築していく鼎の時は大きな幸福を招き寄せる。あらゆる物事がスラスラ亨のである。」とある所以である。
以上が火風鼎の概要である。
ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。
鼎、元吉亨。
○鼎(てい)は元(げん)吉(きつ)、亨(とおる)る。
鼎(かなえ)(食物を煮炊きする器。上爻を鉉(つる)、五爻を耳、四三二爻を器、初爻を足とする)に食物を入れ煮炊きすれば食物の性質は刷新して素晴らしい料理になるように、変革後の組織や社会の制度を刷新して(革を引き継ぎ)、より善い組織や社会の制度を構築するのが鼎の時である。文明(上卦離)的な六五(トップ)と巽順(下卦巽)な賢い部下九二が相応じて、鼎で新しい料理を煮炊きするように、君臣協力して、組織や社会の制度を刷新し、より善い組織や社会の制度を構築するから大いに宜しきを得て幸運を招き寄せる。何事もすらすら通る。以下省略。