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はじめての易経 62.雷山小過

2023年12月16日

六十二雷山小過 ☳ ☶ 震上艮下

 互卦 二八澤風大過  綜卦 同
 錯卦 六一風澤中孚

 雷山小過☳☶は陰爻が四つ周りを囲んでおり、二つの陽爻が封じ込められている。陰爻が多過ぎて物事が停滞する時である。
 陽爻が四つ真ん中に詰まって(多過ぎて)力が漲(みなぎ)っているが、周りが二つの陰爻で脆弱ゆえ倒壊の危機にある澤風大過☱☴と対照的である。澤風大過は陽爻が四つもあるのでやり過ぎると危険だが、雷山小過は陽爻が二つしかないので、逆にやり過ぎることが求められる。
 では、どういう感じにやり過ぎることが求められるかといえば、プラスの方向にやり過ぎるのではなく、マイナスの方向にやり過ぎることが求められるのである。かといって、やり過ぎる程度は程々でなければならない。大きくやり過ぎると駄目なのである。
 風澤中孚を小成卦で見ると、大きな離☲となり、明智・明德を具えていたが、雷山小過を小成卦で見ると、大きな坎となり、艱難辛苦に陥っている。この艱難辛苦を乗り越えるためには、二つしかない陽爻が程よくやり過ぎることが求められる。やり過ぎる方向はプラスの方向ではなく、マイナスの方向である。雷山小過は陽爻が少ないのでプラス(陽爻)の方向でやり過ぎても上手く行かないが、陰爻が多いのでマイナス(陰爻)の方向でやり過ぎれば上手く行く(但し、やり過ぎてはいけない)のである。
 例えば、買い物をする場合のプラスの方向とは、沢山消費することである。贅沢や奢侈に耽(ふけ)ることである。それに対してマイナスの方向とは、消費を抑制することである。節約することである。けれども、節約しすぎてはいけない。程々に節約することである。
 例えば、人と接する場合のプラスの方向とは、自分の方から積極的に接することである。それに対してマイナスの方向とは、自分の方からは積極的に接することなく、相手から接してくることを待つこと。程よく消極的な対応が求められるのである。
 雷山小過の時は、プラスの方向にやり過ぎることなく、マイナスの方向に程よくやり過ぎる。プラスの方向に程よくやり過ぎることは難しくないが、マイナスの方向に程よくやり過ぎることは、かなり難しいのである。

 以上が雷山小過の概要である。
 ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。(太字を読めば理解できる。)以下省略。