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はじめての易経 25.天雷无妄

二十五天雷无妄 ☰ ☳ 乾上震下

 互卦 五三風山漸  ☴☶
 綜卦 二六山天大畜 ☶☰
 錯卦 四六地風升  ☷☴

 天雷无妄は天地の道が人の道を翻弄する時である。天地の道は人間の是非善悪を超えた生命エネルギーの継続的な活動である。それは、人間にとって大災害として現れる時もあり、僥倖(思いがけない幸運)として現れる時もある。小賢しい人間の知恵が通じない時で、小賢しい智恵で対処すれば災難を招き寄せる。
 天雷无妄☰☳は、天地否☰☷初爻の陰陽が反転した卦(之卦)である。天地否は衰運の流れの真ん真ん中で物事が閉塞逼迫して二進も三進も行かない時である。日本社会に例えるならば、消費税率を八%から十%に上げてデフレが悪化し終わりの見えない不況に陥った令和元年の翌年(令和二年)に中る。
 令和二年の年初に日本のみならず世界中を震撼させた天災が新型コロナウイルスであった。これこそ天雷无妄である。
 先に小賢しい智恵で対応すれば、災難を招き寄せると書いたが、新型コロナウイルスに対する国民や日本政府の対応がそれであった。あの時一番最初に起こった社会的パニックがマスク不足である。マスメディア等の情報に煽られた大衆がドラッグストアに殺到して、アッという間に店頭からマスクが消滅した。だが、小賢しい智恵で対応したのは国民だけではない。むしろ日本政府こそ典型的な小賢しい対応をした。
 安全性に疑問のあるワクチンを海外の製薬会社から大量に買い付けて国民的に接種するように強制的に勧めた。また、日本政府や各自治体は科学的には確たる根拠がないのに飲食店で感染が広がると流布したので、多くの飲食店が経営困難に陥り閉店した飲食店もある。いずれも、新型コロナウイルスという天災に対する日本政府や各自治体の小賢しい対応がとてつもない人災を発生させ事態を悪化させた。天雷无妄への対応を大きく誤って、国民を不幸のどん底へ突き落としたのである。

 以上が天雷无妄の概要である。
 ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。(太字を読めば理解できる。)