毎日連載! 易経や易占いに関する情報を毎日アップしています。

はじめての易経 19.地澤臨

十九地澤臨 ☷ ☱ 坤上兌下

 互卦 二四地雷復 ☷☳
 綜卦 二十風地観 ☴☷
 錯卦 三三天山遯 ☰☶

 地澤臨は陰陽消長卦の一つである。衰運の極み(一ヶ月の日照時間が一番短くなる十一月下旬から十二月下旬)坤為地☷☷を経て、盛運の流れに変わる(冬至を迎え段々日照時間が長くなっていく)地雷復☷☳(十二月下旬から一月下旬)を迎え、春の息吹を感じる地澤臨☷☱(一月下旬から二月下旬)となる。
 地雷復の時は日照時間が長くなり始めたとはいえ、寒さは益々厳しくなる。二十四節気の最後「大寒(一月下旬から二月初旬)」を過ぎると、二十四節気の最初「立春(二月初旬から中旬)」となり春の気配が漂い始める。いよいよ盛運が軌道に乗ってきた。これが地澤臨の時である。
 事業に例えれば分かり易い。衰運に入って年々業績を落としてきた企業(天風姤☰☴→天山豚☰☶→天地否☰☷→風地観☴☷→山地剝☶☷→坤為地☷☷)の業績が下げ止まり、再び上昇し始めた(地雷復☷☳)。業績を上げる力(一陽)が復ってきたのである。
 しかし、一陽の力だけでは大きく業績を上げることはできない。昨対割れが続いた業績が昨対プラスに転じ、赤字続きだった利益もプラスになった。今はこれから更に上昇していくために、力を蓄えている。それが地雷復☷☳の時であった。
 そして今、地澤臨☷☱の時がやってきた。一陽が二陽となり力が倍増した。業績も目に見えて上がっていき、その盛運の流れは今後暫く続く(地澤臨☷☱→地天泰☷☰→雷天大壮☳☰→澤天夬☱☰→乾為天☰☰)のである。
 因みに、地澤臨初爻と二爻の爻辞に「咸臨す」とある。ここからあの「咸臨丸」が名付けられたのである。
 当時の武士達がよく易経を理解していたことが分かる。

 以上が地澤臨の概要である。
 ここから先は原文(漢文と書き下し文)を示した上で、初心者でも理解できるように意訳していく。(太字を読めば理解できる。)

臨、元亨利貞。至于八月有凶。
○臨は、元(おおい)に亨(とお)る。貞(ただ)しきに利し。八月に至りて、凶有り。
 臨は上(上卦坤☷)が下(下卦兌☱)に臨(のぞ)む時。権威を有する上の者が下の者に和らぎ悦び(下卦兌)柔順(上卦坤)に臨むから、何事もすらすら通る。正しい道を固く守るがよい。
 陽剛君子の勢いが盛んに伸びて、やがて天下泰平(二地天泰)となるが、泰平を極めれば、小(しよう)人(じん)の勢いが増長(三澤天夬→四乾為天→五天風姤→六天山遯→七天地否→八風地觀と陰陽消長)するのである。