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天命に生きる日本の教え 渡辺京二著「逝きし世の面影」に学ぶ

ⅩⅤ 第八章 裸体と性

幕末来日した西洋人を仰天させ、ひいては日本人の道徳的資質さえ疑わせるにいたった習俗に、公然たる裸体と混浴の習慣があったことはひろく知られている。日本は、西洋では特殊な場所でしか見られない女の裸が、街頭で日常的に目にしうるという意味でも「楽園」だったのである。(P296)

「浴場それ自体が共同利用で、そこでは老若男女、子供を問わず混じり合って、ごそごそとうごめき合っているのである。また外人が入って来ても、この裸ん坊は一向に驚かないし、せいぜい冗談混じりに大声をあげるくらいだった」。
(ハイネ「世界周航日本への旅」雄松堂出版・一九八三年)(P296~297)

ハリスは(中略)「私は何事にも間違いのない国民が、どうしてこのように品の悪いことをするのか、判断に苦しんでいる」。幕吏から、「この露出こそ、神秘と困難によって募る浴場の力を弱めるものだ」といういいわけを聞かされて、混浴が「女性の貞操を危うくするものと考えられていない」ことだけは確からしいと判断したのだが、ある温泉を訪ねてはじめて、その無邪気な実相を知った。
湯には子づれの女が入っていたが、「彼女は少しの不安気もなく、微笑をうかべながら私に、いつも日本人がいう『オハヨー』を言った」。ハリスもまんざらではなかったのだろう。「彼女の皮膚はたいへんきれいで、ほとんどサルカシア人のように白かった」と記している。(ハリス「日本滞在記・中巻」岩波文庫一九五四年)(P299)

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