上九。亢龍有悔。
○上(じよう)九(きゆう)。亢(こう)龍(りゆう)悔い有り。
亢龍有悔、盈不可久也。
○亢(こう)龍(りゆう)悔い有りとは、盈(み)つれば久しかる可(べ)からざる也。
亢龍は龍の極点に居て剛健の力を恃んで大空に飛翔しさらに飛翔しようとして、止まるべき時を忘れる。「亢龍悔い有る」所以である。太陽が真上に上ればその後は下っていき、月が満月になれば欠けていくのは天の道である。天の道には陰陽消長の循環がある。人の道に盛衰の循環がないはずがない。
人間が豊かになり地位を得て傲慢になり権力に溺れ、己を過大評価して進むことばかりを考え退くことを考えず、得ることばかりに熱中して失うことを知らない。存在することを当たり前と思い、亡びることに思いが及ばない。これが亢龍である。このようになってしまえば、権勢を失って天災や人災を招くことを知っておくべきである。
【占】上六は乾為天の極点に在るので位は中を過ぎている。それゆえ、九二の大人と九三の君子は遠くから傍観して助けてくれない。身分は高くなったけれども、それに安んずることができない時。龍が空高く上りすぎて雲がついていけずに慈雨を降らすことができなくなったので、大旱魃になるか想定外の災害がある時。慎まなければならない。
