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明治十九年出版 高島易断 現代語訳(一部掲載)

2026年6月4日

文言 (上欄のコメント、以下同じ)
元は生成発展の始まりを大義とする。それゆえ「元は善の長也」と称する。生成発展よりも大きな徳はない。それゆえ、大きく生成発展することを元とする。元は天においては春(季節の始まり)である。人においては仁(思いやりの人)である。
亨は献じて物事が亨ることが大義である。それゆえ「亨(こう)は嘉(か)の會(かい)也」と称す。乾の道が施行して万類(万物と同じ)が通じて暢(の)びていく。天地宇宙のあらゆる美しい物が集まって一同に会するのである。亨は天においては夏である。人においては礼(調和)である。
乾の利益は私利私欲の利益ではない。万物が天命を全うして各々がその分を得、宜しくその役割を全うするのである。これが「利は義の和也」と言われる理由である。利は天においては秋である。人においては義(大義)である。乾は木の大きな幹である。幹があるから枝や葉が生ずるのである。
いわゆる貞は思考力で中り物事をはっきり覚るという管掌を司って宜しき方向を示し、変化に対して権力で対抗し、万事にそれぞれ主体性を発揮して自立する。すなわち「貞は事(こと)の幹(かん)也」たる理由である。天においては冬である。人においては智(知恵)である。
仁が乾の本体である。すなわち仁は天下万物の命を生みだし万物は運命を全うする。それゆえ「君子は仁を體(たい)すれば以て人に長たるに足」るのである。仁は万物を仲介応対してポイントを外さないことはない。だから礼(調和)と合致する。公で普遍的な利益を追求しており陰陽交わる時は上下公私の大義が正しく公平で安寧だから各々相わしている。安寧の気持ちで事に処すると不穏な雰囲気が漂い秘密めいて奥深いから心が豊かになり自ずと自然に全体が治まること間違いない。元亨利貞の四徳の行いを言葉にすれば大象伝の「君子以(もつ)て自(じ)彊(きよう)して息(や)まず」となる。

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