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抜粋「現代語訳(超意訳) 呑象高島嘉右衛門著 増補 高島易斷 上下巻 占例篇」 火風鼎 一

2022年8月17日

五十 火風鼎 |・| ||・

鼎、元吉亨。
□鼎(てい)は元吉、亨る。
 鼎(かなえ)に食物を入れ煮炊きすれば食物の性質は刷新する。
 変革後の社会制度を刷新する(革を引き継ぐ)のが鼎の時。文明(離)の天子六五と巽順(巽)の賢臣九二が相応じて協力する。大いに幸を得て、すらすら通る。
彖曰、鼎、象也。以木巽火、亨飪也。聖人亨以享上帝、而大亨以養聖賢。巽而耳目聰明、柔進而上行、中得而應乎剛。是以元亨。
□鼎(てい)は象(しよう)也。木を以て火に巽(い)れ、亨(ほう)飪(じん)する也。
 聖人、亨(ほう)して以て上(じよう)帝(てい)を享(まつ)り、而(しか)して大(たい)亨(おう)して以て聖賢を養ふ。巽にして耳目聡明、柔進みて上(のぼ)り行き、中を得て剛に応ず。是を以て元(おおい)に亨る。
 鼎(てい)の形は偉大な宝器「鼎(かなえ)」にそっくりである。
 鼎は木(巽)を火(離)の中に入れ、食物をほどよい塩(あん)梅(ばい)に煮炊きするために用いる器。聖人は、鼎を用いて食物を煮炊きして、天の神様にお供えして祭るだけでなく、より多くの食物を煮炊きし、天下の聖賢を集めて饗(きよう)応(おう)する。
 性質は巽順にして耳目聰明、すなわち天下の賢人に巽順に謙(へりくだ)り、聖賢の教えに順う。革の六二(柔)が天子の位(六五)に上り中庸の德を得て、賢臣九二の補佐を得る。このように盤石な体制ゆえ、すらすら通る。
象曰、木上有火鼎。君子以正位凝命。
□木の上に火有るは鼎(てい)なり。君子以て位を正し命(めい)を凝(な)す。
 木(巽)の上に火(離)が有るのが鼎の形。
 木を火の中に入れると盛んに燃えて鼎(かなえ)の中の食物を程よく煮炊する。君子は端正で安定している鼎の形を見習い、自分の位を正して天命を成就する。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)鼎足正シクシテ、其身自立ヲ得ルノ人タルベシ、腹アリ、器量大度ナリ、耳アリ、賢者ノ言ヲ容ル、鉉アリ、上位ノ人ニ用ヰラル、器量才智ヲ以テ、身を立テ、・・・
 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての現代語訳。
(占)(食べ物を煮炊きする)鼎(かなえ)の足がずっしりと立っているように自立した人。腹の据わった器量人・度量人。賢者の言葉に従い、上位の人の命令に従い、重用される。その器量と才能・智恵で身を立て、位を得て、福運を招き寄せる。
○小人(凡庸な人・俗人)と交際してはならない。
○自らを正しく明るい人間に磨き上げ、神仏を尊崇して、お殿様を仰ぎ見る人は、自ずから吉運を招き寄せて発展する時である。
○鼎(かなえ)は三つの足が支え合って力を発揮する。逆に云えば、一つの足が折れれば共倒れとなる時である。
○不和な人々(不調和な状態)を仲裁する時。
○明德を具えたお殿様に奉仕して身を立て功を成す時。
○物事や制度が改まり、新しい形ができる時。
○物事や人間関係が調和する時。 ○家督相続に関する時。
○疑惑が解ける時。 ○物事が定まる(完成する・安定する)時。
○苦労を経て、その後吉運を招き寄せる時。
○色々な物事が溢れ易い時。 ○役人を志向すると利益が得られる時。
○物価が変動して定まらない時。

鼎 初六 |・| ||・

初六。鼎顚趾。利出否。得妾以其子。无咎。
□初六。鼎(かなえ)、趾(あし)を顚(さかさま)にす。否(あしき)を出(いだ)すに利し。妾(しよう)を得て其(その)子を以てす。咎无し。
 鼎の一番下に居て足をひっくり返そうとする。正しい姿勢ではないが、鼎の中に溜まっている穢いものを除き去るには都合がよい。変革の後、乱れた秩序を鼎の中に溜まっている穢いものに例えた。変革の後で新しい秩序を整えるには、乱れた秩序を一掃することが必要である。初六は賤しい身分ゆえ九四の大臣の正妻にはなれないが、妾になって子供を産めば、九四に跡取りが出来る。誰からも咎められない。
象曰、鼎顚趾、未悖也。利出否、以從貴也。
□鼎(かなえ)、趾(あし)を顚(さかさま)にすとは、未(いま)だ悖(もと)らざるなり。否(あしき)を出(いだ)すに利しとは、以て貴(たつとき)に従ふ也。
 足をひっくり返そうとする。穢いものを除去する道理に悖っていない。
 穢いものを除き去るには都合がよい。貴いものを取り入れる(変革後、乱れた秩序を一掃して、新しい秩序を整える)ためである。

 以下、高島嘉右衛門著高島易斷の占いの見立ての原文の一部。
(占)舊習ノ否ヲ去リ、速ニ志ヲ改メ、更ニ智識アル賢者ノ意ニ從フトキハ、運來ルベシ、又妾ヲ迎フルニ、善良ナル者ヲ得ルノ時トス、又子ヲ得ルノ占ナリ、・・・