屯、元亨。利貞。勿用有攸往。利建侯。
○屯(ちゆん)は元(おお)いに亨(とお)りて貞(ただ)しきに利(よろ)し。往(ゆ)く攸(ところ)有るに用(もち)ふる勿(なか)れ、侯(きみ)を建(た)つるに利(よろ)し。
彖曰、屯剛柔始交而難生、動乎険中。大亨貞、雷雨動満盈。天造草昧、宜建侯而不寧。
○彖に曰く、屯は剛柔始めて交(まじ)わりて難(なん)生(しよう)じ、険(けん)中(ちゆう)に動く。大いに亨(とお)りて貞なるは、雷雨の動き満(まん)盈(えい)すればなり。天(てん)造(ぞう)草(そう)昧(まい)、宜しく侯(きみ)を建(た)てるに寧(やす)からず。
屯は純粋に陽爻で成る乾と陰爻で成る坤の二つの卦に続いている卦であり、乾(陽)と坤(陰)が交わって物が始めて生まれる貌(形)である。それゆえ、内卦の震が奮って進もうと欲しても、外卦の坎水に阻まれて動くことができない象(かたち)である。また坎☵は険難な性質だから、動けば険難に陥る恐れがある。その性質を慮って、険難の下に潜んでおり、すぐに伸びることはできないのである。
大体において萬物が生ずるときは理論整然とはいかないものである。それゆえ、この卦の名前を屯と言う。水雷屯の父である乾為天は純粋に剛健の卦である。それゆえ精神が柔軟かつ実直で、公のために無私の精神で働く者である。また母である坤為地は純粋に柔順な卦である。それゆえ自分の身の安全だけと考えて自分のためにだけ働く者である。このように乾為天の初爻と坤為地の初爻が初めて交わって震雷☳となり次に交わって坎水☵となって、下卦震雷、上卦坎水となって屯の卦となったのである。
