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これ以上わかりやすくできない易経入門の解説(一部掲載)15&16

2025年12月25日

十五.地山謙 ☷ ☶ 現場の長が謙って組織を治める時

□謙は亨(とお)る。君子、終(おわり)有り。
 謙は富(ふ)有(ゆう)になっても驕(おご)り高ぶらず人に謙(へりくだ)る時。君子だから終りを全うすることができる。
◎象に曰く、地(ち)中(ちゆう)に山有(あ)るは謙なり。君子以(もつ)て多きを裒(へら)し寡(すくな)きを益(えき)し、物を稱(はか)り施(ほどこ)しを平(たいら)かにす。 ☆富の偏り(不公平)をなくして、誰とでも平等に接し、恭(うやうや)しく謙(へりくだ)って人を尊敬できるようになれば、多くの人から尊敬されて、みんなが幸せになる。
○初六。謙(けん)謙(けん)す。君子用(もつ)て大(たい)川(せん)を渉(わた)る。吉。
 ☆自分の身を修め慎みの心と謙遜することを保ち続ければ、リスクを冒しても吉運を招く。
○六二。鳴(めい)謙(けん)す。貞(てい)にして吉(きつ)。
 ☆よく謙遜して上司(九三)に仕えれば、周りの人に感謝されて吉運を招き寄せる。
○九三。勞(ろう)謙(けん)す。君子終(おわり)有り。吉(きつ)。
 ☆苦労に感謝し功績を上げても誇らず善行を積み上げれば、感謝されて吉運を招き寄せる。
○六四。謙を撝(ふる)うに利(よろ)しからざる无し。(六四。利しからざる无し。謙を撝(ふる)う。)
 ☆地位は高いが実力はない。部下(九三)の才能と智恵を用いて事に対処すると宜しい。
○六五。富(と)めりとせずして其(そ)の鄰(となり)を以(もつ)てす。用(もつ)て侵(しん)伐(ばつ)するに利(よろ)し。利(よろ)しからざる无し。
 ☆あまりにも謙遜すれば、下の者に侮(あなど)られる。断固とした態度で、今の地位を維持する。
○上六。鳴謙す。用て師(いくさ)を行(や)り邑(ゆう)國(こく)を征するに利し。
 ☆驕り高ぶっている人を抑制する。身を修めて家を斉えることの大切さを教え導く役割。

十六.雷地豫 ☳ ☷ 側近が実権を握って組織を治める時

□豫(よ)は、侯(きみ)を建(た)て師(いくさ)を行(や)るに利(よろ)し。
 側近に任せて組織を運営する。側近は部下や民衆を悦楽させ、反逆を制圧するが宜しい。
◎象に曰く、雷の地を出でて奮(ふる)うは豫なり。先王以て樂を作り德を崇(たつと)び、之を上帝に殷(いん)薦(せん)し、以て祖考を配す。 ☆万事自分が思っている通りになる時、知らず知らず怠る気持ちが心の中に芽生えて、ご先祖さまや先代を軽視するようになれば、悦楽は乱れとなり崩れていく。
○初六。鳴(めい)豫(よ)す。凶。
 ☆チャンスを掴めば立身出世すると空想して自慢するが、立身出世できずに困窮する。
○六二。石(いし)に介(かい)す。日を終えず。貞(てい)にして吉(きつ)。
 ☆確乎不抜の志を持ち他人に依存せず、自立して仕事を全うすれば、吉運を招き寄せる。
○六三。旰(く)豫(よ)す。悔(く)ゆること遅ければ悔(くい)有り。
 ☆自分の身分や経済状況を顧みずに贅沢することを戒めて、生活費を倹約すべきである。
○九四。由(ゆう)豫(よ)す。大いに得る有り。疑(うたが)う勿(なか)れ。朋(とも)盍(あ)い簪(あつ)まる。
 ☆君主(トップ・上司)に仕え、大勢の民衆から信望を得ているが調子に乗ると堕落する。
○六五。貞(てい)にして疾(や)む。恆(つね)にして死せず。
 ☆位は高い(トップ)が常に側近(九四)の力に頼っているので思い通りにはならない。
○上六。冥(めい)豫(よ)す。成(な)れども渝(かわ)る有れば、咎(とが)无し。
 ☆悦楽に耽(ふけ)り酒(しゆ)色(しよく)に溺れ、恥じることがなければ終には死に至る。よくよく反省すべし。