周易(易経、以下易経と表現する)の原型は今から四~五千年前に古代支那の伏羲(ふつき)が考案したと伝わる「八卦(はつか)」と「六(ろく)十(じゆう)四(し)卦(か)」である。
日本の国文学者の平田篤(あつ)胤(たね)は伏羲の正体は出雲の国作りを行った大国主の神であると主張している。古代(六千年前)の日本に存在したと伝わる神代文字(ヲシテ文字)の基本概念が陰陽の理論であり、八卦と六十四卦の根底にある陰陽の概念と共通しているからだと著者は解釈している。
その真偽は証明できないが、陰陽の概念を根幹に生み出された八卦とその八卦が重なって出来た六十四卦の物語(単なる物語ではなく、宇宙空間におけるありとあらゆる現象を説明する時の物語)が易経の本質であり魅力である。
わたしがこれまで出版してきた易経の書籍を区分すると「易占い入門」と「本格的な易経の解釈」の二つに分類されるが、今回出版する「人生に役立つ易経」は「初学者のための易経入門書」である。
難解になりがちな易経の解釈を初学者でも理解できるように大胆に意訳してみた。多くの人々が本書をきっかけに易経に親しむようになってくれることを願っている。
