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明治十九年出版 高島易断 現代語訳(一部掲載)

2026年5月31日

※以下、大象伝の解説
(大象伝)象曰、天行健。君子以自彊不息。
□象に曰く、天(てん)行(こう)は健(けん)なり。君子以(もつ)て自(じ)彊(きよう)して息(や)まず。

大体において六十四卦の大象伝は皆一つの卦の根幹にある働き(真実)を受け持ち示したものである。乾の卦は上下共に乾☰である。乾は天である。天が重なっている☰☰。天の運行の形である。天の運行は旋回窮まりなく永遠に活動している。それゆえ「天(てん)行(こう)は健(けん)なり」と言う。
君子がこの乾為天☰☰の形を表現して「天の運行は一日たりとも休まないほど健全である」という大象伝の辞を手本にして、自らの精神を励まし意を強くして勇気を持って進み、僅かも途切れることがない。このことを「自(じ)彊(きよう)して息(や)まず」と言う。考えてみると、天の運行は常に健全であるけれども、人の道は十歩進めば九歩後退する。これは人間の心の状態が至誠ではなく、志が揺らいでしまうことによる。諺に「流れる水は腐らない。器具や機械を用いれば、人の心は朽ちない」と言っている。
それゆえ、人は常に自らを勉めて少しも緩むことなく意欲を高めることで意欲は益々高まり、精神は日々に精進していく。思うに肉体は限界があって養い続けても生長し続けるわけではない。精神はそうではない。養い方によっては限りなく生長し続ける。聖賢といわれる偉人であっても、生まれつき聖賢だったわけではない。みんな「自らを強くして休むことなく精進した効用」が積もって致せる境地である。それゆえ、人間は充分に精神の培養を要するべきである。培養するほかに方法はない。「自(じ)彊(きよう)して息(や)まず」とはそういうことである。
以上すでに彖伝と象伝を解釈してきた。ここよりさらに乾の四徳(元亨利貞)を論じよう。そもそも「元亨利貞」の四つの字は卦辞・彖辞も彖伝・象伝においても占いの言葉(占辞)とする。けれども、易経の意義は広大で悉く備わっていることをもって論じてはならない。

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