ⅩⅢ 第七章 自由と身分
古き日本を実見した欧米人の数ある驚きのなかで、最大のそれは、日本人民衆が生活にすっかり満足しているという事実の発見だった。(中略)日本は将軍の専制政治が行われている国で、(中略)個人の自由は一切存在しないと聞かされていたし、実際に来訪して観察したところでは、それはたしかにこの国の一面であったからである。
オリファントは一方では「日本を支配している異常な制度について調査すればするほど、全体の組織を支えている大原則は、個人の自由の完全な廃止であるということが、いっそう明白になってくる」と言いながら、他方では「個人が共同体のために犠牲になる日本で、各人がまったく幸福で満足しているようにみえることは、驚くべき事実である」
(オリファント「エルギン卿遣日使節録」)と書かざるをえなかった。(P262)
プロシャ遣日使節団の公式報告書「オイレンブルク日本遠征記」もまた、「人民はたえざる監督の結果、抑圧され疑い深くなったと信ずべきなのに、実はまったく反対に、明朗活発、開放的な人民が見出される」という矛盾をぬかりなく指摘していた。
(P262~263)
